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 ちょっと昔のドラマや映画を見ると驚くことがある。
 やけに重たそうな大きな携帯電話で話すシーンや、あるいは携帯電話がまだ一般化されていないため、登場人物たちが連絡を取り合うのに苦労するようなシーンだ。

 物心ついた時には薄くてコンパクトな携帯電話が普及している今どきの子どもたちは、デートの待ち合わせ場所で恋人を何時間も待つとか、公衆電話を探し回るといったシーンが理解できないんじゃなかろうか。

 佐田啓二と岸恵子がひたすらすれ違う映画「君の名は」を見ても、「ばっかじゃねえの? ケータイ使えばいいじゃん」「マチコ、さっさとメールしろよ」などと思うに違いない。今どきの若い子が「君の名は」を観るかどうかはわからないけど。

 携帯電話は、掌に隠れるほど小さくなった。メールのやりとりができ、インターネットに接続できるようにもなった。さらに、音声が録音でき、静止画、動画が撮影できるようになった。
 住所録にもなるし、メモもできるし、電卓もついてるし、ゲームもできるし、携帯電話ひとつあれば、たいていの用事は済む。

 そして、近々テレビつき携帯電話もリリースされるという。すごいぞ。どこまで高機能になるんだ、携帯電話!

 これからどんな機能をつけたらいいか、何をくっつけたら売れるのかを、各社、必死に考えていることだろう。

 というわけで、私も次世代の携帯電話について考えてみた。

 たぶん、今後携帯電話に求められる機能は、みんなが欲しがるモノではなくて、趣味に特化されたモノではなかろうか。

 試合中でも電話に出られる野球のグローブ型携帯電話とか、棋譜が自動的に記録される将棋盤型携帯電話とか、箱形の筐体に豆乳を注ぐとにがりを打つポイントを着信メロディで知らせてくれる手作り豆腐携帯電話とか、デジタル魚拓作成機能つきの釣り竿携帯電話とか。

 雨の日でもふんわり乾く乾燥機つき全自動洗濯機携帯電話とか、おいしいケーキが簡単に焼けるオーブンつき携帯電話とか……いやいや、もう面倒だ、全部ひとまとめにくっつけちゃえ。これから一人暮らしを始める人向けに、生活家電一式がセットになった携帯電話を開発しよう!

 と、携帯各社の企画会議では、このように本末転倒なアイデアが怒濤のごとく溢れかえっていることと思う。

 え、そんなことない? うーん、そうであってほしいなあ。荒唐無稽なアイデアから意外とベンリなモノが生まれるかもしれないよ。