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 目覚めたら、ビックリするほど肩が痛い。動こうとすると肩甲骨のあたりまで激痛が走る。
 痛くて起きあがれない。身体の向きを変えようとするだけで痛いのである。

 イモムシのようにもぞもぞと布団から這いだし、椅子につかまってようやく立ち上がることができたわけだが、じっとしていても痛い。肩を回したり、腕をもんだり、背中をたたいたり、いろいろ試してみるが、痛みはひく様子がない。

 根を詰めてパソコンに向かった翌日などはパンパンに肩がこることがあるが、この日に限っては思い当たるふしがないのだ。

 昭和37年生まれの42歳。そうかこれが噂の四十肩か、と納得しつつも、痛いものは痛い。四十肩だろうが五十肩だろうが、なんでもいいから早くこの痛みを取り去りたい。

 そこで、ふと、気になることを思い出した。

 その数日前、体調がすぐれず、だらだらと寝たり起きたりして過ごしていたのだが、テレビをつけてもどのチャンネルも面白そうな番組はなし、録画しておいた番組も見尽くしてしまったし、レンタルショップにビデオを借りにいく気分でもない。

 そこで、昨年の暮れに息子に買ってやった「桃太郎電鉄12」(通称・桃鉄)というプレステ2用のゲームが目についたので、なんとなく始めてみた。

 これはサイコロをふって日本全国の駅を回り、各駅にある名産品の店やその土地の代表的な建物といった物件を買い占めていき、購入した物件の収益や資産額を競うというゲーム。文章にするとやけに世知辛いのだが、ゲーム内にはイベントも数多く仕込まれていて、子どもから大人まで楽しめるすごろくゲームだ。

 1カ月に1ターン、つまり1回サイコロをふることができ、1年で収支の決算がある。3年でも10年でも自分の都合の良い時間に合わせて遊ぶ年数を決められるのだが、ヒマを持てあましていたので、最長の99年に設定してゲーム開始。

 人間VSコンピューターキャラ1人での対戦。何の考えもなくただぐるぐる回るだけの弱いキャラから意地悪な攻撃をしかけてくる手強いキャラまでコンピューターキャラも数種用意されている。もちろん一番弱いキャラを選択し、ひたすら日本中の物件を買いまくる。30年を超えたころにもなると、出てくる金額も億だの兆だのと景気よく、ストレス解消にもってこいだ。

 1兆、2兆と順調に増えていく資産がうれしくて、つい夢中になって徹夜。しかし、一晩徹夜したくらいでは99年は終わらず、その翌日も延々とプレイにいそしんだ。

 無事、99年をやりとげ、満足感に浸る私。

 しかし、「桃太郎電鉄12」には日本全国を回るモードのほかに、近畿・四国・中国地方だけを回る西日本限定モードがあるのだ。というわけで、今度は西日本編を99年に設定してゲームスタート。お相手はもちろん一番弱いコンピューターキャラだ。楽しい。

 明けても暮れても桃鉄三昧。小学校から帰宅した息子に「またお母さん、桃鉄やってんの」などとバカにされる始末である。

 そう、この肩の痛みは四十肩ではなく、原因は桃鉄のやりすぎである。桃鉄肩。ゲーム中は全く自覚がなかったが、コントローラーを必死に握りしめ、良いサイコロの目が出るようによほど肩に力を入れていたのだろう。我ながら情けない。

 専門家の診断を受けたわけではないので、本当に桃鉄が痛みの原因かどうかはわからないが、おそらく間違いないと思う。

 そこで、現在は禁煙ならぬ「禁桃鉄」中。昨日も息子から「一緒に桃鉄やろう」と誘われたが、涙を呑んで断った。息子は不審な顔をしていたが、「桃鉄のやりすぎで肩が痛いから」なんて息子に説明できるものか。

 今も、松本幸四郎丈がCMに出演している「バンテリン」を擦り込んだり、鎮痛剤を飲んだりして、痛みと戦っている。そして、痛みが消えた暁には、また桃鉄で遊びまくってやろうと目論んでいる懲りない私なのだった。

参考:
「桃太郎電鉄12」(ハドソン)