PR

 今週末、映画「鉄人28号」が封切られるが、我々昭和30年代生まれの人間はロボットが大好きだ。
 鉄腕アトム、鉄人28号、ジャイアントロボ、マジンガーZ、ドラえもん……などなど、ロボと共に成長してきたといっても過言ではない。

 我々が幼い頃は、ロボットといえば実際には手の届かない架空の世界のモノで、テレビや漫画の中で活躍する姿を応援するだけだったけれど、今やSONYのAIBOやTOMYのファービー、以前このコラムで取り上げたプリモプエルといった家庭用ロボが次々とリリースされ、ロボット愛好世代としては誠に喜ばしい限りである。
 まあ、一般的にロボットといえば“男の子のオモチャ”とされているわけだが、昨年末、ビジネスデザイン研究所からリリースされた「よりそいイフボット」はなかなかユニークなロボだ。
 コンセプトは、お年寄りを癒やす高齢者向けロボット。そう、子ども用ではなくシニア用に作られたロボなのだ。
 数万通り以上の対話パターンが組み込まれており、使う言葉は常に敬語だという。さすがはお年寄り向けロボ、ナイスな気づかいだ。
 「体調が悪い」などと話し掛けると「お疲れさまです。きょうはゆっくり休んでください」といった返事をする心優しいロボでもある。
 また、日常会話のほかに、右脳のトレーニングとしてなぞなぞ、左脳のトレーニングとして計算問題など、頭の体操になる会話をしてくれるし、昔のニュースを話したり、歌を唄う機能もある。これは「回想法」(かつて自分が体験したことを語り合ったり過去を思い出したりすることによって、脳を活性化させる療法)を取り入れたものらしい。
 1体の価格は60万4800円。レンタルもできるらしい(3年契約で月々1万6800円)。
 お年寄りの皆さんがロボとの会話で心を癒されたり楽しめたりするかどうかは、この「よりそいイフボット」が広く普及してみないことには判断できないが、我々の世代なら確実にロボと仲良くなれる自信がある。
 ただ、問題は会話の内容や歌のチョイスである。
 イフボットのデモページでは「ずいずいずっころばし」を唄っていたのだが、おそらく子どもの頃の思い出を喚起させるために、このような曲を選択したと思われる。
 我々の世代も幼稚園や小学校でわらべうたや童謡に親しんで育ってはいるが、なにより親しんだのはテレビであろう。テレビ番組の主題歌やCMソングははずせない。
 たとえば、私だったら「ブーフーウー」のテーマソングとか「ピンポンパン体操」あたりを唄ってもらいたい。「ウルトラセブン」の主題歌も捨てがたいなあ。NHKの人形劇の「新八犬伝」のエンディングテーマもいい。「いざとなったら玉を出せ」っていうアレね。アニメの主題歌なら「天才バカボン」とか「巨人の星」とか「サスケ」とか……、ああ、書き出したらキリがないぞ。
 私よりも下の世代だと、それは「にこにこ、ぷん」だったり「ドラえもん」だったり「北斗の拳」だったり「ガンダム」だったり「ピンクレディ」だったりするかもしれない。
 そうなのだ。ほんの数年の差で、思い出の歌や懐かしのアニメが変わってしまうのである。
 一般に70歳の方も80歳の方も90歳の方も、つい「お年寄り」という枠で一緒にくくってしまいがちだが、もし10歳違ったら、幼い頃の生活・文化・教育など、かなりの違いがあるような気がする。また、暮らしていた地域によってもさまざまな違いがあるのではなかろうか。
 しかも、我々はいわゆるオタクのはしりの世代である。細かい事にやけにうるさい。
 「アニメは興味なかったけど時代劇の主題歌ならよく唄った」だの「KISSは好きだったけどクイーンは今イチ」だの「ユーミンは荒井由実時代じゃないと…」だの、せっかくロボが懐かしい歌を唄ってくれても、ごちゃごちゃ文句ばかり言うような気がする。
 将来、我々が高齢者向けロボットを利用するときには、「昭和35年生まれアニメファン用」とか「昭和40年生まれ阪神タイガースファン用」とか「昭和40年代生まれアイドルマニア用」とか、あらゆるニーズに応える豊富な品揃えをお願いしたいものである。
 っていうか、今のお年寄りだってそうだよね。
 お年寄りがみんなわらべうた好きとも限らなくて、幼い頃からのジャズマニアもいれば浪曲を聴いて育ったという人もいるはず。高齢者向けロボットというコンセプトは非常にユニークなのだから、採算のこともあるのだろうけれど、是非ディテールにはこだわってもらいたい。ガンバレ、イフボット!

鉄人28号
ビジネスデザイン研究所・会話型ロボット/製品情報/よりそいイフボット