PR

 現在の部屋に引っ越して13年になる。築20年以上の狭くて古い3Kだ。

 その前はさらに狭い2Kに住んでいたので、越してきた当初はのびのびしたも
のだが、そのうち赤ん坊が産まれ、その赤ん坊がいつのまにやらニョキニョキ
成長して身長150センチの6年坊主にもなると、狭さが身にしみる。台所にはナ
ベの蓋やしなびた野菜が転がり、本棚からは本が溢れ、ダイニングテーブルの
下には新聞だの洋服だの読みさしの雑誌だのが散らばり、その隙間を縫って歩
かなければならない。まるでケモノミチだ。

 無論、こまめに片づければいいだけなのだが、日々増え続けるモノに対して
収納場所が圧倒的に足りない上に、根が無精ときている。

 もうダメだ。限界だ。来年は豚児も中学生。これを機に広い部屋に引っ越そ
う。そしてモノが散らばっていないスッキリ快適な生活を営もう。

 というわけで、新居を探しつつ、新居の収納およびインテリアについて考え
る日々である。

 これまで、本が増えれば本棚を、服が増えればプラスチックの収納ボックス
をとりあえず買い足すという誠に無計画かつセンスのない生活を送っていたた
め、インテリアにはとんと疎い私。しかし、今は、インターネットというベン
リなシロモノがあるおかげで、オシャレな家具や素敵なインテリアを居ながら
にして眺めることができる。

 といっても、予算には限りがある。いくら今より広い部屋に引っ越すといっ
ても、なにもかもが無計画な我が家の財政で住めそうなのは、せいぜいが60平
米程度。インテリアショップのサイトにある写真のように、広々とした大邸宅
に有名なデザイナーによるモダンな家具をゆったりと配置するというわけには
いかぬ。

 それに、なにより大事なのは収納だ。我が家からケモノミチをなくすために
は、たっぷりとした収納場所を確保しなければならない。

 そこで、ディノスやニッセンといった通販サイトを覗いてみる。収納に困っ
ているのは我が家だけではないらしく(とはいえ、家中のあちらこちらにケモ
ノミチを擁する家庭は少ないと思うけど)、どの通販サイトも収納家具の品揃
えが充実している。似たような機能、似たようなデザインの家具も多く、どれ
を選べば一番お得なのか、よくわからない。

 インターネットはベンリだけれど、いくつもの写真やスペックをあれこれ見
比べるとなると、ここはやはり紙媒体の出番である。

 カタログを無料で送ってくれる通販サイトも多いので、早速申し込む。しか
し、すっかり気分が盛り上がってしまった私は、カタログが送られてくるのが
待てず、すかさず近所のコンビニに走って何冊かカタログを購入。

 「こんな棚があればいろいろ収納できそうだなー」とか「なるほど、食器を
すべて白で揃えるとオシャレなのね」とか「ソファに寝ころんでだらだらテレ
ビを見たら気持ちいいだろうなー」とか、カタログを並べて思わずうっとり。

 カタログを見ているうちに、さらに高まるインテリア熱。今度は
Amazon.co.jpにアクセスして、インテリアの参考になりそうな本を探して注文
してみる。「24時間以内に発送」と表示された本ばかりを選んで注文したのだ
けれど、当然、届くのは翌日以降だ。いいや、そんなには待てん。そこで、今
度は近所の書店へ走り、綺麗なインテリア写真がたくさん載っていたムックを
数冊購入。

 あれこれ見た結果、どうやら私が望んでいるのは“北欧スタイル”とか“ス
カンジナビアン・モダン”などと称される類のインテリアらしいことが、ぼん
やりわかってきた。北欧かぁ。北欧といえばスウェーデン? スウェーデンと
いえば性教育? …っていうか、私の北欧に関する知識はそれだけなのか?
スカンジナビア半島の皆さん、ごめんなさい。

 ハイセンスなテーブルや椅子やチェストがいい塩梅に配置されたステキなイ
ンテリアの写真を眺めつつ、未来の我が新居に思いをはせる。

 しかし、ふと回りを見渡せば、泥棒が入った後もかくやと思しき荒んだ我が
家。まずは、使ったものは元に戻す習慣から身につけようじゃないか、私。そ
れと、要らないものはさっさと捨てること。「あとで」「あとで」が積み重な
れば、いつのまにやらケモノミチ。いくらインテリアに凝っても、部屋が散ら
かってたら台無しだ。ああ、スッキリ片づいた部屋に住みたい!