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 今までお互いに何の接点もなく、存在すら知らずに生きてきた者同士が、あるきっかけで知り合い、人生をともに歩み始める。そのきっかけがインターネットで……。こう書くといかにも陳腐ですが、あらためてこのことを実感する出来事がありました。先週の日曜日、私の家族が増えたのです。

 出会い系とか詐欺とか、いろいろよくない話も聞こえてきます。でも、わずか2週間の間に、お互いの存在を知るところから始めて、生活をともにすることを決断できるまで、話を進められるとは思いませんでした。

 まずは新しく増えた私の家族を紹介しておきましょう。

 名前は玉緒(お姫様女優の名にあやかって)、メス、4カ月(推定)、ミックス犬ですが、恐らくほとんど柴犬。でも確実に他の犬種が入っているという感じです。私では、それ以上分かりません(汗)。犬なのに暖房機の前で丸まってるのが大好きです。犬なのに……。

 玉緒と出会ったのは、ある里親募集のサイトでした。横浜市で保護したこと、もう1匹の犬と2匹で放浪していたところを保護されたこと、生後4カ月程度と推測されること、2匹とも元気で保護した人の家で過ごしていることなどと合わせ、2匹の様子を撮影した写真が2点ほど掲載されていました。

 ミックス犬らしい愛嬌とかわいさにすっかりノックアウトされてしまい、速攻で家族会議。覚悟を決めて、準備を進めることを家族で確認しあって、保護した方にメールで引き取り希望であることを連絡しました。何度かやり取りして、日曜日のお昼に我が家へご来訪。お互いに気に入れば、そのまま引き取るという段取りになりました。で、新しい家族になったというわけです。

 私自身、犬を飼うのは2度目です。前に飼っていた犬も、今の犬と同じく身寄りのない犬でした(放浪していたところを捕獲され、川崎市の動物管理センターから引き取りました)。前回は、「そういう状況の犬がいるんだけど、一時的に預かるんでいいから飼ってくれない?」と知り合いに声をかけられ、「いっすよー」と実に気軽に引き受けたのです。一応、事前にペットの飼い方を解説した本を読んだりはしましたが、一般論だけ並べられてもあまり真面目に読む気にはなれなかったので、どんなことが書いてあったのかはまったく覚えていません。時々近所の動物病院の先生に頼りはしましたが、おおむね出たとこ勝負と結果オーライで何とか飼育を放棄することもなく、14年近く飼うことができました。

 今回、「ああネットってすごいなあ」と思ったのは、かわいい犬を見つけられたことでも、見つけてから短期間で新しい家族として迎え入れたことでもありません。里親を募集するサイトを見て、どの犬なら家で引き取れるだろうかと考えているうちに、たくさんの犬が里親を待っていること、そうした犬を保護するボランティアの方々がいること、保護された犬が捨てられたり、ひどい環境で過ごしていたこと、ボランティアの皆さんが苦労していること、保護されている犬よりもはるかにたくさんの犬が処分されていることなどを、一般論としてでなく、「これから犬を飼うものの立場」で切実さを感じることができた点です。

 単に引き取り手が求められているというのではなく、保護した側による里親の審査があることも、知りませんでした。一部の例外を除いて室内飼育が条件だったり、不妊や去勢が未処置の犬の場合は、引き取ったあとの手術が条件として示されています。引き取る側の住居形態や庭の有無をたずねられたり、家族全員の了解を得ているかを確認されたり、家族構成も知らせなければならなかったり……。それもすべて、飼育を放棄して捨てられたり、処分されたりするペットをできる限り減らすため。これらのペットは他のペットに比べて悲惨な生き方を強いられてきた分、引き取る側にも覚悟が求められているのです。

 最初はもっとイージーに、新しい犬を探していたような気がします。里親を捜す犬や猫の情報が集まってくるところには、ペットの置かれた状況、ボランティアの活動、引き取り手に求められることといった情報も集まってくる。そうした周辺情報を目にしているうちに、私も真剣に「新たに犬を引き取ることに対する責任」を考え出したんだと思います。

 前の犬のときには、当然そこまで考えていません。今なら分かる「前の犬を飼っていたときの至らなさ」を思うと、ちょっと胸が痛くなります。もしかして、当時ネットがあったら違っていたかもしれないとは思いますが(パソコン通信はありましたが、私は使っていませんでした)、その場合には私よりもっといい飼い主さんが見つかっていたのではないかという気がします。少なくとも今回の件に関しては「ネットがあってよかった」と思いました。

 で、そうした飼い主の覚悟のもと、我が家では新しい生活のスタートを切ったチビ犬がいます。まだ数日とはいえ、けっこう大暴れです。購入したドッグサークル(オリみたいなもんです)も、2日目にはジャンプして飛び出しました。しつけに必要なのは根気と時間。いやもうすべて覚悟のうちでございます。でも、でもね、できればオシッコとウンチの場所は、なるべく早く覚えてほしいなあ(泣)。