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 前回に続き、3/10の土曜日に、一橋大学の佐野書院で行われた「教育用プログラミング言語ワークショップ2007 -ワープロ07-」の後半を報告します。

 ワークショップでは、午前に基調講演を行い、午後は「情報科学」「計測制御」「音楽活用」という3つに分かれて分科会を行いました。前回は基調講演と情報科学分科会を紹介しました。今回は残りの分科会を報告します。

計測制御分科会

 計測制御分科会は「プログラムでロボットを制御する体験を通して情報機器の仕組みを学ぶ」ことがテーマです。最初に、司会者である静岡大学の紅林秀治先生が、「世の中の乗り物や電気製品はすべてコンピューターと機械を組み合わせて作られている。その原理を知ることは生きていく上で大切である」という重要な問題提起をしてくれました。

 続いて静岡大学附属島田中学校の西ヶ谷浩史先生が、物を運ぶことのできるロボットカーの授業を紹介しました。今まで車輪によって動きを制御する授業をしていましたが、今回は物を運ぶ「仕事」ができるようになったことで、生徒たちは世の中でコンピューターと機械がどのように協調して役立っているのかを学べたそうです。

 CSKホールディングスの森秀樹さんは、小学生を対象にしたワークショップの試みを紹介しました。米MIT(マサチューセッツ工科大学)で開発された「Cricket」という教材を使い、カラフルな紐などを使った工作と、それを動かすためのプログラミングを組み合わせた作品製作を体験することができるそうです。

 最後に、福岡県新宮町立新宮中学校の中村講介先生が、ロボットを火星探検に向かわせたことを想定して制御する授業を紹介してくれました。生徒たちは、遠く離れた場所で自律的に動くことの重要性や、その学習を通してNASAなどが行っている探索の理解、そして天体や科学について学ぶことができるそうです。

音楽活用分科会

 音楽活用分科会は「コンピューターや技術以外の授業で、プログラミングが活用できることを探求する」ことがテーマです。最初に、司会者である東京農工大学の並木美太郎先生が、「音楽教育にプログラミングは役立つはず。逆に、情報教育の題材として音楽は役立つはず」という重要な問題提起をしてくれました。

 続いて、ウノウの酒徳峰章さんが、簡単なテキストの表記から音楽を演奏できるサクラという音楽ソフトを紹介してくれました。音楽製作とプログラミングは類似点が多く、小中学生から社会人まで多くの人がプログラミングを含めて音楽を作成・演奏してくれているそうです。

 また、蘇州倶楽部の梅本竜さんが、作曲を教えるプロの立場から、作曲の難しさとそれを支援するためのアイデアを提案してくれました。まったくの初心者が作曲したいときに手助けするためのサクラで使えるライブラリを考案し、実際に利用されているそうです。

 東京農工大学の辰己丈夫先生は、音楽を利用した情報教育について提案してくれました。音楽はグラフィックスと比べてバグがシビアにわかることや、作品を使って情報配信や著作権についての理解を深めるなど、いろいろな可能性があるそうです。

 荘銀総合研究所の山澤昭彦さんは、2つのプログラミング言語(酒徳さんのなでしこと、私のドリトル)を使い、大量に自動作曲のプログラムを書いた経験を紹介してくれました。実際、人間が作曲して演奏しているのではないかと思える作品も多く、情報処理の学習に役立つ面が多いとのことでした。

 最後に、慶応大学の荒木恵さんが、実物のオルゴールとコンピューターでのシミュレーションを組み合わせた授業を紹介してくれました。小学校の授業で使い、子供たちがオルゴールの原理を理解しながら、自分のオルゴールプログラムを作れたそうです。

 分科会の後は、それぞれの司会者から各分科会の内容を参加者全員に報告をしてもらいました。会場からは多くの質問があり、「参加できなかった分科会の内容を知ることができてよかった」という声も聞かれました。

ワークショップを終えて

 今回のワークショップでは、このブログのテーマでもある「プログラミングの楽しさを体験してみよう」ということを発展させて、学校ではどのような場面で使えるのかを1日かけて探求しました。今回は分科会形式を取りましたが、お互いの顔が見える人数で共通の話題に取り組むことで、議論を深めることができました。参加者は、私のようなコンピューターの専門家だけでなく、現場の先生方が数多く参加してくださいました。また、音楽やロボットの専門家の方も参加してくれたおかげで、議論に深みが出たように思います。

 参加者の方からは、「ぜひ来年もやりましょう」「やるべきことが見えました」という意見を数多くいただきました。ぜひ、今回のワークショップの成果を発展させていきたいと思います。最後になりましたが、いっしょに準備を進めてくれたワーキンググループメンバーのみなさまと、受付を手伝ってくれた杉本さん、青木さんに感謝いたします。

 前回から2回にわたり、3月10日に行われた「教育用プログラミング言語ワークショップ2007」の様子をご紹介しました。次回は、一年間近く続けてきたこのブログのまとめを書きたいと思います。