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 ワープロ、ブラウザー、メール、何でもいいが、ソフトから印刷を行うと、プリンターの選択肢の中に「Microsoft XPS Document Writer」というものがあることに気付く。私はそんなプリンタードライバーはインストールした覚えがない…。当然だった。Vistaには最初からXPSの仮想プリンタードライバーが入っていたのだ。

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図1 Vista搭載パソコンで印刷を実行すると、プリンターの選択画面で「Microsoft XPS Document Writer」という表示が出る

 では、XPSってなんだろう。

 XPS(XML Paper Specification)は、XMLベースの電子文書である。電子文書というと、すぐに思い浮かぶのはPDF形式のファイルだが、XPSは使用方法や使用目的でPDFによく似ている。いかなるソフトで作ったファイルでも、互いに問題なく表示できるようにするものだ。

 簡単な例を考えてみよう。例えばExcelで表を作り、相手にデータを渡すとする。データはXLSというExcelの独自形式である。もし相手がExcelをインストールしていなければ、専用のビューワーをインストールして表示するしかない。これは手間だ。この時、Excelの表をPDFファイルに出力して渡せば、相手は無償のAdobe Readerを使ってファイルの内容を見ることができる。Adobe Readerは、ほとんどの人が利用している、あるいは利用可能な状態であるので、気兼ねなくPDF形式で文書ファイルを渡せるわけだ。

 XPSも利用シーンは同じだ。異なるのはVistaの場合、最初からXPSを生成する仮想プリンタードライバーと、表示ツール(IE7.0だが)がインストール済みだという点だ。PDFは表示するのは容易だが、作成するには専用ツールが必要だ。なのでXPSは手間からいえば、PDFよりもはるかにスムーズに文書ファイルをやりとりできる仕組みだといえる。

 ただ、XPS本来の利便性が理解されて普及するのは、世界中のパソコンユーザーがVistaを利用し始めてからであって、現実には、現在の電子文書のスタンダードはやはりPDFである。ソフトや周辺機器などを購入すると、たいてい電子マニュアルが付属しており、その形式もPDFになっている。この状況が変化するにはまだ相当の時間がかかるだろう。

 とはいえXPSが使える状況ならやってみたい。そこで実際に「Microsoft XPS Document Writer」を使ってXPSファイルを作って、IE7で表示してみた。

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図2 図1の画面で「OK」ボタンを押すと、ファイルの保存先とファイル名を聞かれる。ファイルの種類の欄には、「XPS Document(*.xps)」とある。ここで「保存」ボタンを押すと、ファイルは印刷されることなく指定したフォルダーにXPSファイルとして保存される

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図3 「ドキュメント」フォルダーに保存したXPSファイルをダブルクリックすると、IE7上でファイル内容が表示される

 感覚としては、作成の時の手間や表示の容易さはPDFとほとんど同じだった。Vistaは今年に入って発売されたばかりなので、XPSファイルを送りつけられても、見られる環境を持っている人はそれほど多くない。なのでしばらくは、XPSファイルは相手がVistaを使っていると分かっているときに利用するのが無難だ。

 XPユーザーなのにXPSファイルを送りつけられてしまった――こういうシーンではどうしたらいいか。この場合は、マイクロソフトのサイトにアクセスし、XPSファイルの作成や表示が可能な「Microsoft .NET Framework 3.0」をダウンロードしてインストールしよう。なお、Microsoft .NET Framework 3.0が対応しているのはWindows XP/2003だけなので、それ以前のバージョンのWindowsを使っているユーザーは、このファイルは読めないので別の方法で送り直してもらうことになる。