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 前回、僕の個人的な就職活動の思い出を書きました。今回は、カヤックという会社の新卒採用の考え方についてです。

 カヤックは今まで積極的に新卒を採用していませんでした。新卒者の応募があると、「うちに来ても新卒扱いしないので、新卒扱いされる会社に行きなさい」とアドバイスします。うちのような会社は、何も新卒で入る必要はないですし、いつでも、門戸は開かれているからです。

 これが、まずは学生の立場になった上でのアドバイスです。ただ、それでも情熱をもって入りたいと言ってくれる人の期待には応えたいと思いますし、前回の記事でも書いたように、本人は自覚していなくても、我々がカヤックに向いていそうだと思った人間は、新卒でも採用してきました。結果としては毎年、新卒の新入社員が数人いるというのが現状です。

 新卒でカヤックに入った人間が、数年目でばりばりやっているのをみていると、このような人材を中途で採用しようと思っても、なかなか難しいだろうと感じます。だからこそ企業は新卒採用に躍起になるのでしょう。人は、最初に入った会社の常識や文化に、今後の社会人生活を送るうえでも大きく影響を受けてしまいます。逆に新卒は一番、無垢な状態です。素直でもっとも教育しがいがあるという利点が会社にはあるのです。30歳を過ぎて転職してきた人間は、なかなか常識を打ち破れません。今までの会社での常識が邪魔してしまうのです。

 だからこそ、学生の人たちには、最初に入る会社がおそらく自分の社会人生活の原点になるので、慎重に、できるだけ誠実に考えて自分に合う会社を見つけたほうがいいとアドバイスしておきます。嘘をつき、無理をして自分に合っていない業界に入った結果、自分に合っていない業界の常識を身に付けさせられたら、たまったものではありません。まぁ、嘘をついた自分が悪いのでしょうけども。

 採用側の論理に話を戻すと、新卒採用のほうが素質として優秀な(といってもあくまで資本主義社会における優秀の定義ですが)人を見つけられる可能性が高いことを企業は分かっています。だから、1人あたりの採用コストとして数百万円をかけてでも、新卒採用に力をいれ、優秀な人を探します。特に営業中心の会社は、それを十分に理解しています。優秀な人間であれば、新卒であっても1年で十分育ちますので投資効果があるわけです。そして、社会人としてフレッシュで、賃金の低い2~5年目ぐらいの社員が、がんばってくれれば、投資が十分、回収できますので、その人たちにぶんぶん働いてもらう。そして、給料が高くなってきた頃に、社員が辞めることを推奨する・・・というサイクルの中で動く戦略が取れるわけです。僕はこの戦略が悪いとも思いませんし、この手の会社では人材が育つのは非常に早いです。独立する人を世に輩出するという点でも、良い機関となっていることも事実だと思います。

 では、カヤックのような企業が新卒採用にかけられるコストはどれぐらいなのでしょうか。もともとのビジネスモデルが、営業主体の会社とは異なりますし、組織にいる人間の職種が、そもそも1、2年では即戦力にならないという職種的な事情もあり、新卒採用に積極的にコストを投資するということは考えてきませんでした。

 ただ、第45回の記事で書いたようなラボをもつということが、優秀な学生の採用につながっているのだとしたらそれを採用コストとみなすということもできるのかもしれません。

 今後はカヤックにあった新卒採用の仕組みを考えてみたいと考えています。

 このあたり、一度詳しい方といろいろ話をしてみたいと思っていますので、カヤックに興味のある方は、どうぞご指導ください。

 あ、そういえば企業が新卒採用をするメリット、もうひとつありました。学生の頃に社会人に会うと誰もがすごく見えるんですよね。だから会社説明会にいくと、大体単純なもので「この会社すごいなぁ」と感激してしまう。そして学生時代にそのような印象を受けた会社って、社会人になってからも好印象を持ち続けるんですよね。三つ子の魂百まで。すなわち新卒向けの採用活動は、会社のファン作りでもあるのでしょうね。