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 Wi-Fiアライアンスという業界団体が標準化した「Wi-Fi Protected Setup(WPS)」という規格をご存知でしょうか。これは無線LAN機器の設定を簡単にできるようにするもの。ボタンを押したり、PINと呼ばれる端末固有の番号を入力するだけで、無線LAN機器の設定を済ませられるようにする規格です。

 無線LAN機器の「簡単設定」と呼ばれる方法は、これまでにもありました。有名なのは、バッファローの「AOSS」やコレガの「JumpStart」、NECアクセステクニカの「らくらく無線スタート」など。各メーカーが独自に工夫を凝らした方法です。バッファローのAOSSなどは、ゲーム機やテレビなどのパソコン以外の製品でも採用されていました。

 ただ、各社各様の方法だと問題があります。親機(無線LANルーター)と子機(PCカードなどのアダプター)のメーカーが異なる場合、無線LAN内蔵のパソコンを使う場合、2台目以降のパソコンを接続する場合などで、簡単設定がきちんと機能しないケースが生じるのです。

 そもそも、設定方法の標準化を1社のメーカーだけで推し進めていくには限界があります。WPSは、関連メーカーが手を取り合って簡単設定の標準化を果たそうというのが目的です。パソコンとその周辺機器だけでなく、無線LAN機構を備えた白物家電などでもボタンひとつで簡単に設定できるようすることを目指しています。4~5月にかけて、無線LANルーターから徐々に、WPSのロゴを取得した対応製品が市場に投入される予定です。

 4月10日時点で、WPSの認証を取得した製品は販売されていませんが、市場にあるいくつかの無線LANルーターはWPSの仕様に基づいているとのこと。そこで、一足先にWPSの簡単設定がどのようなものかを試してみました。

 結果は、残念ながら少し期待外れ。ボタンでの設定は比較的スムーズだったのですが、PINを利用する方法が少しややこしいのです。親機の持つPINを入力するパターンと子機の持つPINを入力するパターンがあったり、子機の持つPINを利用する場合にはパソコンがもう1台必要だったり。『日経パソコン』2007年4月23日号に詳報しますが、なかなか一筋縄ではいかず、簡単設定なのに実験に丸2日以上も費やしてしまいました。

 なかでもユーザーが最も困ると思われるのは、「どの設定方法を選ぶべきか」を考えなければならないことです。ボタンで設定する方法と、PINを使う方法のどちらかを選ばせること自体、混乱の基になる可能性があります。しかも、「簡単設定」であるがゆえ、説明書の量が圧倒的に減っています。トラブルが起こったときに、頼りになる説明書がないので、結局はサポートセンターに電話することになってしまうのではないでしょうか。

 とはいうものの、各社各様の方法で無線LANの設定が飛躍的に簡単になって3年以上。それが標準化というところまでたどり着いたのは大きな前進です。「まだ始まったばかり。WPS対応の機器が出てくることで精練されていく」(機器ベンダー)。WPSの設定方法も今後、USBメモリーを使ったり、NFC(短距離無線通信)と呼ばれる非接触式ICカードなどを使ったりできるようになる予定です。しばらくは暖かい目で見守っていきたいと思います。