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 先日、マイクロソフトのMac版Officeのデモを見る機会がありました(関連記事)。Macすらろくに触ったことのない私にとって、Mac版Officeはまさに未体験ゾーン。まあ同じMicrosoft Officeだし、Windows版と大して変わりないだろう……そう思い込んでいたのですが、見事に裏切られました。

 裏切られたというのは、良い意味で、です。Mac版には、Windows版にはない個性が随所に見られます。代表的なのが、マイクロソフトが「Mac Only、Mac First」と呼ぶMac版の独自機能。次期Wordが搭載する、「Publishing Layout View」はその一つです。DTPソフトのような感覚でワープロを使える機能で、チラシやパンフレットなどの制作に向くとのこと。もちろんWindows版のWordでも工夫さえすれば同じような文書は作れるのでしょうが、操作性は格段に良さそうに見えました。

 ただこうした機能面よりも、私の心をくすぐったものは別にあります。それは、デザイン。Windows版Officeには正当派ビジネスアプリケーションの雰囲気が漂いますが、Mac版にはどこか遊び心を感じます。まず、丸みを帯びたかわいらしいデザインのアイコン。画面の下部にある「ドック」にこのアイコンがあると、思わず目がいきます。理屈ではなく、なんだかクリックしたくなるのです。

 サブウインドウを最小化するときの動きもかわいらしい。うまく言葉で表現できないのですが、「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる一反木綿みたいな形と言えばお分かり頂けるでしょうか……。とにかく、しゅるっと縮まるような感じでウインドウが消えます。

 ちなみにこの動きはOfficeだけでなく、Macのシステムのさまざまなところで目にします。最初はMac OSが標準機能として提供しているのだろうと思っていたのですが、よくよく話を聞いてみると、そうではないというのです。Mac版Officeのウインドウの動きは、マイクロソフトが独自開発したもの。それも本家Mac OSのウインドウの動きをトレースして、緻密に作り込んだのだとか。

 ビジネスアプリケーションであるOfficeの開発において、これほど“役に立たない”部分にそこまでの開発コストをかけているとは。私にとって、それはかなり衝撃的な事実でした。マイクロソフトの担当者によれば「私たちはMacのプラットフォームをサポートします、という意気込みのあらわれでもある」ということです。

 アプリケーションソフトには、「役に立つ・立たない」という物差しだけでは測れない価値がある、という思いが最近改めて強まっています。どんなアプリケーションにしろ、使っていて楽しい、嬉しい、心地よい、とユーザーに感じさせられるかどうかが、これからますます重要になっていくのではないでしょうか。Windows Vistaでも、こんなふうにユーザーを惹き付けるアプリケーションソフトが早くたくさん出てきてほしいものです。「Windows Presentation Foundation」など、そのためのツールは用意されているのですから。