4月1日から始まった携帯電話などで受信可能な地上デジタル放送、いわゆる「ワンセグ」サービス。主要テレビ局が取り組んでいることから注目は高い。一方で本当に利用している人はまだ少ないのが現状だ。サービス開始から10日、読めば分かった気になるワンセグサービスに関する10の質問に、日経パソコン記者が答えた。
Q1 「ワンセグ」ってそもそも何の略称?
A1 1(one)セグメントの略称だ。地上デジタル放送は1つのチャンネル周波数帯域を13のセグメントに分けている。そのうちの12セグメントは普通のテレビ向けに使用している。残る1セグメントを携帯端末向け映像の配信に使用していることからこういう名前になった。
ちなみに、現在のアナログ放送と同等の画質は4セグメントあれば実現できる。普通のテレビ用の12セグメントは既存のアナログ放送並みの映像を配信しようと思ったら3チャンネル分の容量があるということになる。大半のテレビ局は12セグメントをフルに使用して高画質放送を行っているが、NHK教育は時間帯によって3番組を同時に放送している。
Q2 ノイズって出るの?
A2 デジタル放送なので映るか映らないかのどちらか。アナログ放送のようなノイズはでない。
Q3 映像の画質は?
A3 アナログよりいいというのが第一印象。ワンセグの映像はQVGA(解像度320ドット×240ドット)画質、15コマ/秒で構成されている。アナログ放送のSD画質の解像度は720ピクセル×480ピクセル、30コマ/秒だからスペックとしては劣るが、ワンセグの場合小さいディスプレイでの表示が前提だからほとんど気にならない。
Q4 ワンセグ端末の大きさはどのくらい?
A4 通常の携帯電話より一回り大きくなった印象だ。例えば、NTTドコモの「P901iS」は115gだったが、ワンセグ対応の「P901iTV」では150gになっている。
Q5 バッテリー使用でどのくらいの時間受信が可能?
A5 携帯電話についているワンセグ受信機能を使った場合で3時間くらいだ。携帯電話の場合、テレビ機能の使用でバッテリー残がゼロになるようなことはない。通話できるくらいのバッテリーは残した状態になる。
アナログ放送の受信機能付き携帯電話と比較すると連続視聴時間は伸びている。例えば、アナログ放送、ワンセグ両方が受信できるauの「W33SA」では、アナログ放送の連続視聴時間は約1時間だが、ワンセグでの連続視聴時間は約2時間半(スピーカー出力時)になる。
Q6 録画はできる?
A6 携帯電話の場合は短い時間だが可能。番組中で気になった部分をちょっとだけ記録しておくような使い方ができる。
Q7 端末の値段はどのくらい?
A7 携帯電話の場合、契約内容によって端末価格が異なるので一概には言えないが、NTTドコモのP901iTVを新規契約した場合で約3万円。auの場合、ネット通販では端末価格は1万円前後からある。ワンセグ対応のポータブルDVDプレーヤーでは7万円前後だ。
パソコンではVAIO Tシリーズの直販モデルで、ワンセグ機能をオプションで付けると1万円値段が高くなる。
Q8 どこでも受信できるの?
A8 現在は関東、中京、近畿の3大都市圏と13の県で放送は始まっている。地上デジタル放送のカバー率が6割くらいだから、全国で使えるサービスになるにはまだ時間がかかる。
関東地区は墨田区にできる第二東京タワーで受信状況はだいぶよくなるだろう。地上600mからの高さなら、高層ビルに遮られることもほとんどなくなる。ただ、地方都市は中継アンテナがデジタル放送対応のものに置き換えが進まないと受信エリアは拡大しない。
Q9 全部のテレビ局が対応するの?
A9 最終的にはUHF局も含めてデジタル放送化するので、すべてのテレビ局がワンセグ放送には対応することになる。
Q10 で、結局ワンセグならではのメリットって何?
A10 よくも悪くも地上波を使って普通のテレビ用に放映されている番組がワンセグ用にも供給されている。コンテンツという意味では差がない。
ただ、デジタル放送の仕様として字幕が用意されている点は、外出先でテレビを楽しむ際の使い勝手を向上させている。例えば、ニュースなどは音を出さなくても字幕を見ていれば内容は十分把握できる。
将来的には、携帯電話という通信機能を持つ端末と一体化していることを生かしたサービスも登場するかもしれない。例えば、番組中で紹介した商品をすぐに購入できるというようなものだ。