PR

 このところ、家電量販店などの店頭で「スカイプ対応機器」というコーナーが広がりを見せている。メーカー各社のマイクやヘッドホン、カメラなどが並んでいる。これらをパソコンにつなぐことで、インターネットの向こうにいる相手と電話できる。このインターネット電話に用いるソフトとして、最も使われているのが「Skype(スカイプ)」だ。

 Skypeのユーザー数は全世界で1億3600万人(2006年12月時点)。平均して1日22万人ものペースで増えている。日本国内でもユーザーが400万人を超え、普及が目覚ましい。

「Skype」は、ユーザーが話す音声をデータに変換し、インターネット経由で送受信する機能を持つ、いわゆるインターネット電話ソフト。他の同種ソフトより音質が優れていること、法人ユーザーなどでファイアウオールを越えて通話する際にも複雑な設定がいらないことなどから好評を博し、世界中にユーザーが広がった

 Skypeの最大の特徴は、Skypeユーザー同士であれば無料で通話できることだ。また、一般の電話番号にかける機能もあり、相手がSkypeを持っていなくても使える。例えば、中高生の子供が毎日長電話をして、2万~3万円にも達する月々の電話代が悩みの種となっている家庭などにとって、Skypeは強い味方となる。

無料でありながら、比較的音質が良いことがSkypeの最大の特徴。初期設定も簡単で、初心者でもすぐに活用できる。とはいえ、固定電話と完全に同等というわけではなく、ナローバンドの回線では十分な音質を確保できない場合もある

ネット電話が手軽に

 インターネット電話は、パソコンを利用して自分の声をデータに変換し、インターネット経由で相手に届ける。インターネット電話ソフトは、インターネット上で相手先を探して回線をつなぎ、音声を送受信する。

 もともとインターネットの世界では、パソコンなどで入力した文字をリアルタイムに相手に届ける、いわゆるチャット機能を提供するソフトが存在した。1990年代後半、ブロードバンドの整備と前後して、付加機能として音声や画像データの伝送機能を備えたチャットソフトが増えてきた。その後、高速のインターネット回線につなぎ放題という環境が一般家庭にも広がり、インターネット電話が一般消費者にも身近になってきた。

 インターネット電話ソフトは、世界中で何百製品も開発されてきた。しかしSkypeが登場するまで、実用的な製品はほとんどなかった。これは、音声データをインターネットで伝送するのが難しかったためだ。

 一般にインターネット上でやり取りされるデータは、パケット(小包)と呼ばれる数百バイトの細かい単位に分割され、それぞれにあて先データを付けて送信される。各パケットが順番通りに、同じ所要時間で相手に届けばよいのだが、インターネットは世界中のコンピューターが共用しており、混雑で待たされたりパケットの順番が入れ替わったりする。

 メールやWeb、ファイル転送、動画配信などであれば、受信側でいったんデータをため、前後したパケットの順番を並べ直すことで復元できる。電話の音声データも基本的には同様だが、データをためる時間を長くしすぎると、話してから相手の返事を待つ間に時間のずれが生じ、会話がぎこちなくなる。テレビの衛星中継で音声がずれるのと同じ現象だ。従来のインターネット電話ソフトでは、こうした音声のずれが原因で自然な会話が難しかった。Skypeでは独自の工夫により、比較的速度の遅い回線や混雑した回線でも、はっきりとした声で会話できるようにした。

固定電話より低コスト

 下の表は、従来の固定電話やIP電話とインターネット電話の比較だ。固定電話は「回線交換方式」という仕組みで、通話のたびに1本分の回線を各利用者に割り当てる。他人の通信に邪魔されることなく回線を独り占めできるため音質はクリアだ。回線網は全国に張り巡らされ、停電や地震でも通話が途切れないよう何重ものバックアップを用意している。その代わり、高品質サービスの対価として、比較的高い月額基本料金や通話料を支払う必要がある。

 IP電話は、インターネットと同様にパケット通信の仕組みを使うことで、回線網やサーバーのコストを抑えている。ただし、一定の音質を確保するため、回線は音声データ専用として独自に敷設し、前述したパケットの入れ替わりや遅れが出ないよう、ルーターなど通信機器の設定を調整している。

 インターネット電話は、一般のインターネット回線をそのまま流用する。固定電話やIP電話のような設備投資がなく、コストが大幅に安いのがメリット。半面、インターネット回線を流用するがゆえの制約もある。回線の状態やインターネットの混雑具合によって、音質が悪いこともある。また当然ながら、パソコンを起動させないと通話できない。

IP電話もインターネット電話も、インターネット上のデータ通信の手順であるIP(internet protocol)を使うことで、固定電話より効率良く音声データを伝送し、コストを従来の固定電話より大幅に抑えている

 次ページからは、実際にSkypeをインストールして使う手順について見ていこう。