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 音声や画像、データなどを表す信号は、情報の種類によって周波数が決まっています。ところが、ラジオやテレビ放送では、元の信号よりも周波数の高い電波で音声や画像を送ります。また、インターネット接続では、データ信号を周波数の異なる電話回線で送る場合があります。

 このように、伝送しやすくするために信号の周波数を変えることを「変調」といいます。変調された信号を元の周波数の信号に戻すのが「復調」です。

変調には三つの方法がある

 放送や無線通信では、信号をもっと高い周波数の波に乗せて、電波で送っています。この波を「搬送波」といいます。変調を別の言葉で説明すると、送りたい信号の周波数を搬送波で変えることであるともいえます。変調された信号の周波数は、搬送波の周波数を中心にしたものになります。

 搬送波の周波数を変えることによって、いろいろな周波数帯で情報を送ることができます。このようにして、多数の信号を別の周波数の搬送波で送るのが、第4回で説明した周波数分割多重化(FDM)です。

 搬送波に、音声や画像、データなどの信号を乗せる方法は、大きく分けて三つあります(pict.1)。

 第1の方法は「振幅変調」(AM)といいます。搬送波の振幅を信号の波形に合わせて変える方法です。ラジオ放送の音声や音楽、テレビ放送の映像を送るのに使われています。また、アナログ伝送における電話信号の周波数分割多重化にも振幅変調が利用されています。ただ振幅変調には、外部から雑音が加わるとそのまま情報に乗って品質を悪くするという欠点があります。

 第2の方法は「周波数変調」(FM)です。信号の大きさに比例するように、搬送波の周波数を高くしたり低くしたりします。主な用途は、ラジオのFM放送やテレビの音声です。変調後の周波数帯域が広くなるのが欠点ですが、雑音が加わっても品質が悪くならないので、高品質伝送ができます。

 第3の方法は「位相変調」(PhM)で、情報信号の大きさに比例させて搬送波の位相をずらすものです。この方法は、デジタル信号の変調によく使われています。

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 一番上にある波形は、0と1を表したデータ信号のパルス波形です。これを振幅変調、周波数変調、位相変調で変調すると、波形はこの絵のように変化します。一番下の波形は搬送波で、ある決まった周波数の正弦波です。数式では、A sin(2πft+φ)と表されます。Aは振幅、fは周波数、tは時間、φは位相のことです。
 絵の例でみると、振幅変調は周波数fも位相φも変えないで、データ信号の1と0に合わせて振幅Aの値を変えます。データ信号が1のときは、搬送波の振幅が1になります。データ信号が0のときは、搬送波の振幅が0になります。
 周波数変調は、搬送波の振幅と位相は一定にしたままで、周波数を変えます。データ信号の1に対して低い周波数を、0に対して高い周波数を割り当てます。
 位相変調は、搬送波の振幅も周波数も固定して、信号が0のときは位相を0°、信号が1のときは位相を180°にします。