田中亨「Excelの謎」
目次
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隠したはずのセルが丸見え?――「行・列を隠して保護」で情報漏えいは防げない(第47回)
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人に見せたくないデータを、行や列を非表示にして隠すことがある。隠してシートを「保護」すれば、本当に秘密は守れるのだろうか?実は、非表示にされたセルを丸見えにする方法はいくらでもある。個人情報や機密の漏えいを防ぐ手段にはならないので要注意だ。
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悩み多きハイパーリンク機能――裏ワザ“リンク一括解除”の奇妙な動作(第46回)
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URLやメールアドレスを入力すると自動設定されるハイパーリンク。クリックするとブラウザーなどが起動し、邪魔に感じることもある。一気に解除したければ、「コピーして貼り付け」の裏ワザが有効だ。だがこのワザには、ハイパーリンクのおかしな挙動が見え隠れする。
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背景画像が印刷できない!――シートの「背景」に見る印刷の“優先度”(第45回)
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シートの背景として画像を挿入できることをご存じだろうか。「社外秘」といった画像を作れば、透かし文字として表示できる。だが、いざシートを印刷してみると、背景画像は消えてしまう。そこには、印刷を重視しない表計算ソフト本来の姿が見えてくる。
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実働時間が無断で削られる?――時間計算に潜む「演算誤差」という落とし穴(第44回)
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セルに出退勤の時間を入れ、勤務時間を計算することがある。「10分未満は切り捨て」というルールにも、関数で対応できそうだ。だが、知らぬ間に勤務時間が減っている恐れがあるので要注意。ぴったり「1時間」が「50分」に切り捨てられてしまうとは…。
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0時か12時か、それが問題だ――「午前」「午後」を付けて時刻を表せない理由(第43回)
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「午前10時30分」などと、時刻を日本語で表したいことがある。一見、「ユーザー定義」の表示形式を使えば、簡単に実現できそうだ。ところが実は、深夜の12時と昼の12時に、思わぬ問題が生じる。そこには、明治時代にさかのぼる、日本の時刻表記の混乱がある。
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ヒント表示の本当の使い道――「関数のボタン名」の隠れた便利機能(第42回)
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セルに関数式を入力すると、引数を示すヒントが下に表示される。このポップヒントに、便利な使い道があることをご存知だろうか?一方で、このヒントを消したり、文字を大きくしたいという不満も聞く。表示の変更も可能だが、その設定場所は思わぬところに隠れている。
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意味がわかれば恐くない?――意外と知らない数式の「エラー」。その傾向と対策(第41回)
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式を立てたとき、意味不明の英語や記号がセルに表示されることがある。このエラー表示に手も足も出ず、エクセル嫌いになる初心者も少なくない。とは言うものの、エラーにはそれぞれ“意味”があり、個別の対処法がある。数式を検証する便利なツールもあるので、必ず原因を究明できる。
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SUM関数が計算しない?――“数値”か“文字列”か、それが問題だ(第40回)
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SUM関数が計算を間違える──そんなことが信じられるだろうか。論より証拠。左図では、簡単な合計計算を「0」と誤って表示している。SUM関数のバグ(不具合)か?それともウイルスのいたずらか?実はトラブルの原因は、目に見えない「データ形式」の違いにある。
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「@」マークが入力できない――打倒「1-2-3」の名残が、今はトラブルのもと(第39回)
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「@」で始まる言葉を入力しようとして困ったことはないだろうか。「その関数は正しくありません」というエラーが出て入力できないのだ。関数など入れたつもりはないのに、いったいどうしたことだろう。それは、敗れ去ったライバルからの無念のメッセージかもしれない…。
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「元に戻す」で戻せない!――やり直しが利かないのは人生だけじゃない?(第38回)
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間違った操作をしたときに重宝するのが、「元に戻す」機能だ。一度実行した操作を撤回し、シートを直前の状態に戻してくれる。ところが「シートの削除」など、この機能が働かない操作もある。「元に戻す」を過信すると、取り返しの付かない事態に陥りかねない。
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“分身の術”の落とし穴――「別ウインドウでファイルを開く」裏ワザの実力(第37回)
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エクセルでは、複数のファイルを同じウインドウの中に開くのが原則。だが、異なるウインドウにファイルを開いて閲覧できると便利な場面も多い。実はある“裏ワザ”を使うと、エクセルを複数起動して同時に表示できる。しかしながら、このワザにはいくつかの“副作用”があるので注意したい。
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丸めるのは何桁目?――ROUND関数の「桁数」指定に日本人が悩むワケ(第36回)
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数値の端数を四捨五入したいときには、ROUND関数を使う。対象を引数「数値」に指定するが、問題は2番目の引数「桁数」だ。丸める桁の位置を指定する引数だが、桁の数え方がわかりにくい。難しさの原因は、実は日本語と英語の“丸め表現”の違いにある。
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消える「16桁目」の怪――カード番号を“改ざん”する仕様上の制限とは(第35回)
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セルに「123」と入力すれば「123」と表示される。これは当たり前だ。では16桁のクレジットカード番号をハイフン抜きで入力してみよう。なんと、末尾の数字が勝手に「0」へと変えられてしまうではないか。もちろんエクセルに悪気はない。これがエクセルの“仕様”なのである。
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自動保存をする?しない?――矛盾する内容が共存する「オプション」画面(第34回)
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「ツール」メニューの「オプション」を選び、「自動保存」タブを開く。そこにあるのは、ファイルを自動でバックアップするための設定だ。万一のトラブルに備える便利な機能だが、設定画面には不可解な点が…。「オプション」画面には、そんな謎めいた設定項目がいくつも存在する。
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作者の“個人情報”が流出?!――ファイルに自動記録されるユーザー情報の消し方(第33回)
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エクセルのファイルを取引先や知人とやり取りする場合がある。そのときは、ファイルに記録されたユーザー情報の存在に気を配りたい。ファイルの「プロパティ」を開くと、作成者の名前や会社名が一目瞭然。不用意に人に渡せば、思わぬ“個人情報”の流出につながる恐れも…。
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ファイルサイズを膨張させる「最後のセル」の過ち(第32回)
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数行分の表しか作っていないのに、サイズが数MBにもなる──。そんな巨大なファイルを前にして、首を傾げた経験はないだろうか。これではフロッピーに収まらないし、メールで送るのも大変だ。解決のカギは、ファイルサイズを決める「最後のセル」にある。
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「11-15」と「15-11」が同一?――誤解が招く計算ミス(第31回)
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納品記録で同一の「品番」を数え、商品別の取引件数を調べたい──。そんなとき活躍するのが、条件に合うセルを数える関数「COUNTIF」だ。ところが、このCOUNTIF関数が計算を誤るケースもあるらしい。「11-15」「15-11」といった“反対”の品番を、区別できないなんて…。
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表計算にも韓流の波?――「ロケール」の仕組みとは(第30回)
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下の画面を見てほしい。日本語版エクセルなのに、日付が韓国語だ。昨今の流行に乗じて、エクセルも“韓流”ブームを取り入れてしまったのか?そうではない。背景にあるのは、世界的シェアを握ったエクセルの“国際化”。「日本語だけ使えればよい」というユーザーにも、実は意外な恩恵が…。
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列番号は「数字」か「英字」か――R1C1形式の残影(第29回)
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エクセルのシート上端に並んでいるA、B、C、…というアルファベット。これがある日突然、1、2、3、…という数字になってしまうことがある。エクセルが壊れたのか?それともウィルスに感染してしまったのか?それが、エクセルの祖先の“忘れ形見”であることを知る人は少ない。
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行番号の形が勝手に変わる?――スタイル機能の不思議(第28回)
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エクセルの画面を見て、「あれ?変だな」と感じたことはないだろうか。セルの行番号や列番号が、いつもと違うフォントに変わることがあるのだ。特別に設定を変えた覚えはない──文字化けか?あるいはウイルスか?他人から受け取ったブックでよく起きる、この現象の原因やいかに…。