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 2007年6月5日~9日に開催されるコンピューター関連の展示会「COMPUTEX TAIPEI 2007」を取材するため、台湾・台北にやってきました。米インテルの新チップセットや米AMDの新CPU、各種モバイル機器、IEEE 802.11nやWiMAXなどに対応した通信機器、そして液晶ディスプレイなどのデジタル家電に至るまで、今回も話題が目白押しです。

 私がCOMPUTEXを初めて取材したのは2000年。以来、2002年、2006年と訪れており、今回が4回目になります。その間、台湾のハイテク産業では、中国大陸への開発・製造拠点の移転などが相次ぎ、一時期空洞化に対する懸念が広がったことがありました。中国大陸が急成長している状況に変わりはないのですが、ここ1~2年は再び活気を取り戻しつつあるように感じます。

 1990年代までの台湾ハイテク産業は、半導体とパソコンを全世界に供給する下請けという色彩が強かったように思います。Windows 95以降の世界的なパソコンの普及に伴い、産業規模は順調に拡大しましたが、台湾ハイテク産業自体の存在感をアピールするところまでは至っていませんでした。

 変化が見え始めたのは2000年を過ぎたころからです。2002年のCOMPUTEXでは、ADSLモデムやスイッチングハブなどのネットワーク機器に注力する企業が目立ち始め、それまでと異なる傾向に何となく違和感を覚えていました。

 その翌年、2003年のCOMPUTEXは、予期せぬ方向から強烈な逆風が吹き荒れていました。重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSがアジア全域で大流行したのです。例年6月に開催しているCOMPUTEXはSARSの直撃を受け、9月へと延期を余儀なくされました。

 しかし、そんな逆風にもかかわらず、その年のCOMPUTEXは出展者数が2ケタ増を記録、過去最高の規模で開催されました。開会式には、台湾総統の陳水扁氏と台北市長の馬英九氏の両方が駆けつけ、台湾ハイテク産業の強さを内外に強く印象づけていました(関連記事)。

 ここ2~3年は、液晶パネルの供給で日韓と並ぶ三大拠点の一つとしての地位を固めたほか、スマートフォンやカーナビなどの組み込み型Windowsを用いた電子機器で急速に市場を開拓しています。テレビやAV機能を充実させた高級パソコン、携帯電話といった分野でも成長を見せています。

 もちろん、すべてが順調というわけでもありません。台湾のデジタル家電の旗手であったベンキューは、独シーメンスから買収した携帯電話事業で大規模な赤字を計上。経営陣のインサイダー取引疑惑もあり、今回のCOMPUTEXへの出展を見合わせています。とはいえ全般的には、台湾ハイテク産業は産業の空洞化という事態に向き合いつつ、新たな成長の糧を手に入れることにひとまず成功したと言えそうです。

 そして今後は、以前のように日欧米の下請け一辺倒ではなく、徐々にですが台湾メーカー自らの存在感をアピールしたいと考えているようです。6月4日に開催されたCOMPUTEXの主催者会見で、台湾対外貿易発展協会(TAITRA)副秘書長のWalter Yeh(葉明水)氏が「ITは“イノベーション・テクノロジー”。多くのイノベーションが台湾にあり、COMPUTEXで多くのイノベーティブな製品を見られる。これこそが、多くのバイヤーがCOMPUTEXを訪れる理由だ」と語りました。

 最近は日本国内でも、台湾メーカーが自社ブランドで販売するデジタル家電が徐々に見られるようになっており、葉氏の話もあながち根拠のないことではないというのが筆者の印象です。

 台湾ハイテク産業は再び強さを取り戻したのか。そして、どのような新たなイノベーションを提示してくれるのか。今日から始まる会場取材を通じてしっかり見届け、速報記事を通じて読者の皆様にお伝えしていきたいと思います。ご期待ください。