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 2007年6月初旬、和歌山県で開催された「第11回 サイバー犯罪に関する白浜シンポジウム」に参加しました。同シンポジウムは、和歌山県や和歌山県警察本部、和歌山大学などが主催する「由緒」正しいセキュリティイベント。行政関係の方々や警察/防衛省関係者、教育関係者などが多数集まり、セキュリティについて熱い議論を交わします。

 シンポジウムの期間中、夜はさまざまなBOF(特定の話題に興味を持つ人々の集まり)が開かれます。今年は、セキュリティ教育について話し合うBOFがあり、その中で興味深くも、議論の尽きない話題が提供されました。

 その話題とは、「どのようにして、親に、ネットの怖さとセキュリティ対策の大切さを知ってもらうのか」ということ。議論の根底には、「子供や青少年がネット被害に遭うケースが増えている」との背景があります。「子供を守るためには、親がネットの実情を知り、犯罪に巻き込まれないようにする対策を子供に伝える必要があるのでは」という問題意識が議論を突き動かしているのです。

 一般ユーザーに対するセキュリティ教育は地道に進められています。例えば、経済産業省とセキュリティの業界団体であるJNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)が実施している「インターネット安全教室」。講師が全国を行脚し、ビデオ上演やセミナーなどを通して、一派ユーザーにセキュリティの怖さと対策の大切さを教えます。2003年に開始し、昨年は全国216個所で開催。1万7000人を超える参加者を集めました。

 しかし、「インターネットは怖い。犯罪に巻き込まれるかも」という意識が、多くのユーザーに根付いているとは、まだいえません。地道な啓蒙活動によってセキュリティを意識するユーザーが増えているのは事実ですが、半面で「セキュリティに気をつけてください」という呼びかけに耳を貸さない人が多いのも事実です。BOFでも、「いかに多くの親に聞く耳を持ってもらうのか」という話題に議論が集中しました。

親の意識は「パソコンを使うのは良いこと」

 ここに面白いデータがあります。日経パソコンが2007年5月に子供を持つ親に対して、「パソコンと子供の気になる関係」について聞いたアンケート結果です。466人の方々から有効回答を得ました(この調査結果の詳細は近日公開する予定です)。

 興味深かったのは、子供がパソコンを使うことに肯定的だった親が非常に多かったこと。76%の親が「パソコンを積極的に習得することは良いこと」と答えました。

 では、「子供がパソコンを使うことで不安なことは」という問いに対する答えはどうだったのでしょうか。残念ながら、セキュリティに対する不安がトップではありません。最も多かったのは「視力の低下」。この結果を見て、「確かに!」という気もしましたが、セキュリティ啓蒙が道半ばであることも思い知らされました。

 同時に実施した携帯電話についての調査でも、面白い結果を得ました。それは、パソコンに比べて携帯電話を否定する親が多かったことです。42%の親が「子供に携帯電話を持たせたくないが、今の世の中では仕方ない」と答えたのです。「子供には不要」と合わせると、68%の親が携帯電話に対して否定的でした。

 携帯電話の場合、「お金(通話料)がかかる」ために、否定的な意見を持つ親が多いのだと考えられます。ただ一方で、携帯電話に端を発するいじめなどの問題が広く報道されたことも、この結果に大きく影響しているのではないでしょうか。親の間では、「パソコンよりも携帯電話の方が『悪』」で「携帯電話の方が危険」との意識が根付いている気がします。

 パソコンよりも携帯電話人口の方がはるかに多いことを考えると、この意識の差は仕方ないのかもしれません。しかし、ネット被害に遭うのは、携帯電話でもパソコンでも同じこと。パソコンとネットを安全に、かつ便利に活用するための情報を提供する日経パソコンとしては、もっと積極的かつ広範囲に、正しいセキュリティ情報を報道していくべきなのでしょう。