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 画像や音声のデータ・サイズは、文字などのデータに比べて、とても大きなものになります。そのため、これを保存するには大容量の記憶装置が必要になり、ネットワークで送るには高い伝送コストがかかります。

 そこで、品質があまり低下しないようにしながら、データ・サイズを小さくすることが求められます。このように、元の画像や音声などの情報信号が持っている情報量を減らすことを、データ圧縮あるいは帯域圧縮といいます。

静止画のデータ・サイズを減らすには?

 1枚の画面に含まれている画像情報を圧縮することを考えてみましょう。画像は非常に細かい点(画素)の集合で作られています。例えばパソコン・ディスプレイは、480×640~1200×1600の画素数で作られています。さらに、一つひとつの画素の色や明るさは8~24ビットで表します。1画面のビット数は、最大1200×1600×24≒46Mビットと非常に大きくなります。

 カラー静止画の画面を眺めると、ある範囲の画素はたいてい同じ色と明るさであると気づきます。そこで、8×8画素のように小さなブロックに画面を分割すると、一つのブロックには同じ色と明るさの画素が含まれるはずです。これをまとめて1種類の色と明るさを持つ単位として扱えば、ビット数はずっと少なくて済みます。

 ブロック内で色や明るさが変化している場合でも、たいてい二つか三つの部分に分かれるくらいです。これも各部分ごとにまとめて表せば全体の情報量を減らせます。画面全体でみると、変化の大きい部分が少ないほど、大きなブロック単位だけでまとめることができるので、高い圧縮率が実現できます。

 このように、色や明るさがあまり変化しない部分は大きなブロックで、細かく変化する部分は小さなブロックでまとめることで、画像や音声の品質を劣化させずに、データ・サイズを圧縮できるのです。こうした操作には「離散コサイン変換」と呼ぶデジタル信号処理などを使います。

 静止画の圧縮技術としてよく使われるものに、国際標準の「JPEG」があります。画質をそれほど落とさずに、元のデータ・サイズを大体1/10程度に圧縮できるのが特徴です。この性質を生かしてデジタル・カメラなどで使われています。

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 静止画データの圧縮では、同じような色の画素はひとまとめにするという考え方で行なわれます。これをビア・ガーデンでの注文に例えて見ましょう。
 お客の注文内容が元の画素データに相当します。注文をカウンターに伝えるウエイターやウエイトレスは、データを圧縮するソフトウエアと伝送路に当たります。
 1番テーブルのお客は、全員同じ中ビンの生ビールを注文しました。1番テーブル担当のウエイターは「中ビンの生ビールが5本」と覚えれば済みます。一方、2番テーブルでは、2人は同じもの、残りの3人は違うものを頼みました。この3人分の注文内容を省略して覚えられないので、2番テーブル担当のウエイトレスは大変です。
 このように、5人分の注文でも、同じ注文が多ければ伝える情報が小さくて済みます。つまり、個々のデータの内容が同じかどうかで、圧縮率は変わるのです。