PR

 二日前、とある都内の携帯電話ショップの窓口で、順番待ちをしていたときの話です。店員の仕事ぶりをなんとなしに見ていたのですが、ふと以前にはなかった「あること」に気づきました。どの窓口の店員も、同じようにホワイトボードを抱えているのです。客と話したり端末の画面を見たりする合間に、店員はスラスラとなにやらを書き込んでいる様子。

 彼らはいったい何をやっているのか――。疑問は、自分の順番が来てすぐに氷解しました。ホワイトボードに書き込んでいたのは、客から口頭で聞き取った電話番号や、端末の画面から転記した客の名前などだったのです。

 要は、個人情報保護の観点から、文字を簡単に消せるホワイトボードを活用しているのです。念のため店員に聞いたところ、以前はメモ帳を利用して、客の応対が終わるたびにシュレッダーで廃棄していたとのこと。数カ月前にホワイトボードを導入してからは、応対の最後に客の目の前でボードを真っ白に戻すそう。自分のプライバシーが店舗経由で漏れる心配をしなくて済む点で安心できますし、意義がある工夫といえるでしょう。近くにある別の店舗も2~3軒のぞいてみましたが、同様にホワイトボードを活用していました。最近は珍しくないのかもしれません。

 2006年に相次いで起こった、Winny経由の個人情報漏えい事件は、一度流出したデジタルデータは二度と回収不可能だという恐ろしさを我々に教えてくれました。ただ日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)によると、公表されている個人情報漏えい事件のうち、最も多いのは紙を経由したもの。ネットワーク経由が22.0%なのに対して、実に倍近くの43.8%が紙で漏えいしているのです。

 最近は個人で買える小型のシュレッダーや、刃が5~9枚も付いたはさみ型シュレッダーが数多く登場しています。私もしばらく前に、はさみ型シュレッダーを手に入れ、個人情報の入った紙は必ずザクザク切り刻んでから捨てるようにしています。日常生活の中で、メモ帳や裏紙などに電話口で聞いた知り合いのメールアドレスを書き取ったり、友達に自宅の電話番号を書いてもらったりといったことはよくあります。

 届いたメールを印刷した場合も、そこに署名など個人情報が満載。こうした個人情報入りの紙は念には念を入れて切り刻みます。最初は面倒でしたが、慣れてしまえば苦にならないものです。そんなのイマドキの常識だよ、という方もいらっしゃるかもしれませんが、デジタルばかりでなくアナログな個人情報の漏えいリスクも決して低くないことは覚えておきたいものです。

 ふと思い付きましたが、子供のころ「消せるお絵かきシート」のようなおもちゃで遊んだ経験、ありませんか? 磁石製のシートにペン型の棒で模様を描き、レバーを左右にスライドさせれば白紙に戻るおもちゃ。あれをホワイトボードのように、メモ帳代わりに使うのも手ではないでしょうか。これはぜひ手に入れないと!