
怪しげな商品やサービスの宣伝のために、不特定多数のユーザーに日々送られている迷惑メール(スパム)。その数は年々増え続けている。米シマンテックによると、2007年7月にインターネットを流れたメールの66%は迷惑メールだったという(右図)。
このため、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)やセキュリティ対策ソフトメーカーは、迷惑メールを遮断するサービスや製品(いわゆる迷惑メールフィルター)を提供。これらを導入する企業やユーザーは増えている。
そこで迷惑メール送信者は2006年後半以降、新たな手口を使い始めた。「画像スパム」や「PDFスパム」である。
宣伝文句を添付ファイルに
迷惑メールフィルターの多くは、メールの件名や本文に含まれる単語や文章を、迷惑メールかどうかの判断材料にする。国内の通信事業者などで構成される迷惑メール対策組織「JEAG(ジーグ)」のボードメンバーの一人、インターネットイニシアティブ(I IJ)の櫻庭秀次氏によれば、フィルターの精度は年々向上しており、「典型的な迷惑メールなら問題なくブロックできる」ほどの精度だという。
これを回避するために、宣伝文句などをGIFやJPEGなどの画像ファイルに記載して添付する迷惑メール、いわゆる画像スパムが出現した。画像スパムの多くはHTMLメール。HTMLメールに対応したメールソフトなら、画像がメールの本文中に表示される。

画像スパムが増え始めた2006年9月から10月ごろ、「『フィルターをすり抜ける迷惑メールが増えている』といった話を聞くようになった」(櫻庭氏)。実際に効果があったようだ。
その効果に味をしめてか画像スパムは急増。シマンテックによれば、2007年1月に確認した迷惑メールの過半数(52%)が画像スパムだったという。しかし、それをピークに減少。2007年2月には38%、4月には27%、6月には14%と右肩下がりになった。