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 米国サンフランシスコにおいて、インテルは2007年9月18日から3日間、開発者向け会議(IDF)を開催しています。今回は開催直前に、新しいCPUの発表延期が明らかになったこともあり、出席する意味はあるのだろうかと考えたりもしつつの渡米となりました。

 それでも参加したかったのは、インテル創設者の1人で、「ムーアの法則」を提唱したゴードン・ムーア氏の特別基調講演がIDFで開催される予定だったからです。ムーアの法則とは、「半導体チップに集積するトランジスタの数は2年ごとに倍になる」というもの。同氏が指摘した1965年から現在に至るまで、この法則は現実のものとなっています。

IDFで講演したゴードン・ムーア氏

 ムーア氏は半導体業界を作り上げて来た伝説の人。どんなことを話すのか、興味津々で講演にのぞみました。パソコン関連のジャーナリストの中には、「きっと、ムーアの法則に何らかの手が加えられるはずだ」などとまことしとやかに話す人もいて、会場は満員の聴衆で膨れあがりました。

 今回の講演は、進行を務める司会者が質問し、ムーア氏がそれに答えるという形式で進みました。質問は、何故インテルを立ち上げたのか、1980年代の日本企業の印象は、など多岐に渡りましたが、聴衆が最も注目したのはなんといっても「ムーアの法則」についてです。ムーアの法則は2000年ごろから、CPUの動作周波数の鈍化に合わせて、破綻説がまことしやかに流れ始めているからです。

 司会者が「ムーアの法則は終わってしまうことがあるのでしょうか」とズバリ聞いたとき、おそらく全員が息をのんだはずです。これに対するゴードン・ムーア氏の回答は簡潔でした。彼は「終わりはありますよ」と答えたのです。「最終的にはどこかで終わるでしょう。物理的な限界はありますから」というのが彼の指摘でした。「今までは限界を技術で突破してきました。しかしあと10~15年くらいでまた、そういう壁に突き当たるのではないでしょうか」と淡々と答えていたのが非常に印象的でした。

 もう一つ興味深かったのは、ムーア氏の物事に対する考え方です。司会者が「判断に迷うときにはどうすればよいのでしょう」とアドバイスを請うたとき、ムーア氏は「何もしないのが一番いけないことです。判断に困ってしまったら、最後はコインの裏か表かで決めてもいいんですよ」と語ったのです。

 インテルの設立からこれまでの歩みをまとめた書を読むと、これまで課題と苦難の連続だったようです。それらをことごとく乗り越え、今のインテルを作り上げてきた同氏の発言だけに、非常な重みを感じました。