2006年5月、AMDは新しいソケット「Socket AM2」に対応したCPU群を発表した。これらのCPUは「Revision F(リビジョンF、またはRev.F)」と呼ばれる。一体、CPUの「リビジョン」(以下Rev.)とは何だろうか。
ほかの多くの工業製品と同じように、CPUは出荷している間にも、モデルチェンジや細かな改良が加えられる。一般に知られているAMD製CPUのリビジョンは、CPUコアの「バージョン」であり、Rev.EやRev.Fといったメジャーなものばかりでなく、一般には広く公表されないマイナーなものもある。
下は、現在までに発表された製品群の開発コード名とメジャーリビジョンの対照表だ。メジャーなリビジョン変更は、新しいプロセス技術の採用や大幅な機能追加を伴う。

AMDのAthlon 64シリーズ、Opteronシリーズの各CPUの「初代」に相当するのは、Rev.C。次のRev.CGからRev.Dでは、130nmルールから90nmルールへの製造プロセスの変更があった。また、Rev.EではSSE3機能の追加という大きな変更が加えられた。デュアルコアのAthlon 64 X2シリーズもRev.Eの世代で追加している。デュアルコアは大きな機能追加と考えられがちだが、リビジョン変更を伴わなかったというのは大きな設計変更がなかったことを意味する。
2006年5月に発表したこのRev.Fは、「AMD-V(AMDVirtualization)」と呼ぶ仮想化機能の追加と、DDR2 SDRAMへの対応が大きな変更点となる。従来のDDRからDDR2に変わったことで、メモリーのチップ内終端を制御する信号を追加し、より厳しいタイミング条件をクリアするためストローブ信号が差動信号になった。このように信号に変更があったため、ピン配列を変更し、新たにSocket AM2としてパッケージを定義した。
ただ、リビジョンの変更とパッケージの変更は必ずしもリンクしていない。過去のAthlon 64シリーズのパッケージ変更は、Rev.CからRev.CGのときだけ。これはデュアルチャンネルメモリーに対応するためで、それまでの754ピンに加えて、939ピンを追加した。全ラインアップでの、パッケージの大規模な変更は今回のSocket AM2が初めてとなる。