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 AMDは、動作周波数の向上とCPUコア数の増加をベースとした性能競争がまもなく終焉(しゅうえん)を迎えるとみている。そこで、システムのさらなる性能向上のために、特定処理を高速化するアクセラレーターをさまざまな形で実装する「Torrenza(トレンザ)」を打ち出した(図1)。今回は、その具体的なソリューションの一部として、「Streamコンピューティング」と「Fusion」を解説する。

 AMDは2007年2月28日、ワークステーション1台で実効性能1TFLOPS(テラフロップス、FLOPSは浮動小数点演算能力を測定する単位)を上回る「TeraFLOPS-in-a-Box」システムのデモンストレーションを行った。このシステムは、デュアルコアOpteronに次世代製品の「R600 Streamプロセッサー」を2個組み合わせたもので、一般的な「MADD(積和)」演算を1秒当たり1兆回以上実行するという内容だった。

 R600は正式発表前の次世代製品のため、詳細な仕様は明らかにできないが、グラフィックスチップ(以降GPU、Graphics Processing Unit)が、単精度(32ビット)浮動小数点演算の並列処理を非常に得意としていることはこれまでも一部の研究者には知られており、「Streamコンピューティング」「GPGPU(General Purpose GPU)」として、活用方法が研究されていた。

 AMDは既に「R580 Streamプロセッサー」を2006年11月14日に市場投入し、同時に「CTM(Close-To-Metal)」と呼ぶマシン語に近い言語仕様を一般公開している。これはGPUを汎用の演算チップとして扱いやすくするための手段だ。