DLNAガイドライン2006年3月拡張版には、前回説明した新しい「System Usage」「Device Class」のほかにも機能や定義が追加されている。今回はその中から、「RTP(Realtime Transport Protocol)」や、帯域を予約して一定の通信速度を保証する「QoS(Quality of Service)」への対応、プレーリストの定義を紹介しよう。
従来のHTTPに加えてRTPにオプション対応
従来のガイドラインでは、「HTTP(Hyper TextTransfer Protocol)」が、必須かつ唯一のコンテンツデータ用伝送プロトコルだった。拡張ガイドラインでもHTTPは必須であるが、オプションとしてRTPも使えるようになった。RTPは、音声や動画のようにリアルタイム性が重視されるデータをストリーミング伝送する際に使われるプロトコル。DLNA以外のネットワークアプリケーションでのストリーミング伝送ではHTTPよりも一般的だ。
このRTPと組み合わせて、「RTCP(Real Time Control Protocol)」を制御用情報の送受信に使う。RTPとRTCPは、UDP(User Datagram Protocol)ベースの1対1接続だ。DLNAでは、RTP/RTCPによるコンテンツ伝送時の再生コントロール(再生、停止、一時停止や早送りなど)には「TCP(Transmission Control Protocol)」ベースの「RTSP(Real Time Streaming Protocol)」や「SDP(Session Description Protocol)」を採用している。
これら一連のプロトコルの組み合わせをひとまとめにして「RTP対応」と呼んでいる。RTP自体は、単体でHTTPストリーミングの代替として動作するものではない。
各種のQoS規格と連携するDLNAQOS_UP
一般にRTP系プロトコルによるストリーミングでは、QoSと組み合わせて使うことが多い。マルチメディアコンテンツ配信におけるQoSの位置付けは、コンテンツの種類に応じてセッションごとに優先度を設定することで、リアルタイム性の要求されるセッションの帯域を確保しようと“試みる”ための仕組みとなる。
QoSは「帯域保証」と一言で片づけられることもあるが、ネットワークの帯域を超えるビットレートのコンテンツはそもそも流せない点については要注意だ。