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 エクセル97や2000では、画面右下のほうに、「オフィスアシスタント」と呼ばれるイルカが表示されていた。ちなみに名前は「カイル」。オフィス97で搭載されたヘルプ機能で、操作に困ったとき、あたかもイルカと“会話”する感覚で、解決の方法が調べられるというものだ。「罫線を引くには?」「文字を赤字にしたい」などと普通の言葉を入力して質問できるのが特徴で、ユーザーが行った操作に対しても、関連する機能をヒントとして紹介してくれる。従来の堅苦しいヘルプとは違い、愛らしいイルカがユーザーの心を和ませる、画期的なヘルプだった。オフィス97が登場したときには、起動して最初に語りかけてくるこのイルカに、心を躍らせたものだ。

 オフィス97の目玉機能の一つとして、華々しいデビューを飾ったオフィスアシスタントだったが、次第にユーザーからは酷評されるようになる。ヘルプの検索で、ユーザーの望む答えが返って来ないことが少なくなかったのだ。質問の仕方が悪いと「質問の意味がわかりません」と回答を拒否されたり、言葉足らずの質問をすると、あまり関係のない項目が山のように表示されたりする。

いつしか「邪魔者」扱いに、メーカーは“休職”を宣告

そして何よりも、「その存在自体が目障り」という声が多かった。画面に鎮座する姿がただでさえ邪魔なうえ、余計な動きが処理を遅くする。たまに見せる“あくび”のアニメーションなどは、かわいげがあるというよりイライラを増長させるばかり…。当時は、「オフィスに関して最も多い質問は、イルカの消し方だ」「オフィスをインストールして最初にやることは、オフィスアシスタントを消すこと」などと軽口を叩かれた。

 こうした声を受け、マイクロソフトもすぐにオフィスアシスタントの“改善”を始めた。オフィス2000では、イルカを表示するための“四角い枠”をなくしてサイズを小さくし、作業の邪魔にならないように配慮した。

 だがそれでも、イルカはユーザーと心を通わせることがなかった。「立体表示になった分、動作が重くなった」などと言われ、とうとう次のオフィスXPで、イルカの姿は消されてしまう。かわいそうなことに、オフィスXPの発売キャンペーンの際には、マイクロソフト自身が「オフィスアシスタントに休職を宣告した」といううたい文句を使った。イルカが表示されないことが新版の“売り”であるかのような宣伝まであったのだ。マイクロソフトとしては、「進化したオフィスXPは、オフィスアシスタントが不要になるほど使いやすい」ということをアピールするつもりだったようだが、いずれにしても、アシスタントが表示されなくなったオフィスXPに、ユーザーはこぞって歓喜の声を上げたものだ。

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