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 その軽さと必要十分な機能が気に入って長年使ってきた初代「京ポン」に別れを告げることにした。「京ポン」とは、2004年に発売された京セラのウィルコム向けのPHS端末「AH-K3001V」のことだ。パソコンはほぼ毎年新しい物に買い換えるのに、このPHS端末はなんと約4年も使い続けてきたので、本体は傷だらけだ。

 わが家は、家族3人でPHS端末を利用している。通信費用は全員で1カ月に8000円くらいで収まる。なので、家族間のコミュニケーションにはもっぱらPHSを利用している。「そろそろPHSの端末を取換えようかなあ…」と朝の食卓でふと口にしたら、ケータイ関連の話には敏感に反応するヘビーユーザーな高校生の娘に、その日のうち家電量販店に引っ張って行かれた。

 京ポンと同じような機種をと思っていたのだが、販売員の説明をいろいろと聞いているうちに、アカデミックパックなるものがあることを知った。このパックを使えば、PHS端末とPDAを合体させたスマートフォンの「Advanced/W-ZERO3[es]」が、2万7600円で購入できる。さらにWバリューセレクトというサービスがあって、本体価格を24カ月の分割払いにすれば、月々の利用金額から分割払いの本体価格を割り引いてくれるという。つまり、実質負担0円でAdvanced/W-ZERO3[es]を手に入れられるというわけだ。

 僕は、重さがとても気になっていたのだけれど、結局、久しぶりにPDAを持つ気になってスマートフォンを契約。妻と娘も、新しい端末を2年間使い続けることにした。

 僕はケータイのビジネスモデルはよくわからないのだけれど、総務省の「モバイルビジネス研究会」の議論やその報道を見ると、僕みたいな長期ユーザーが、うちの娘みたいに短期間で端末を頻繁に取り換えるヘビーユーザの端末価格を、その通信費用で補う仕組みになっているようだ。

 だからウィルコムは、このサービスで顧客の2年間の端末利用を担保して短期ユーザーを長期ユーザー化しようしているらしい。普及期、成長期にある市場であれば、ユーザーが増えることで利益は上がるが、市場が成熟し、ユーザー数が伸び悩んできた日本の市場では、ユーザーをいかに長期間つなぎとめるかということが重要な課題になってきている。今回購入した端末には魅力があるようで、毎年端末を買い換えていた娘も2年間の長期ユーザーとなることを選択した。

 友人の話では割り引き前の本来価格は8万円くらいするらしいスマートフォンをいじりながら、これが負担なしで手に入るのだから、そんなビジネスモデルをよく考えたものだなあと感心していたら、100ドルパソコン「XO」のプロジェクトを推進するOLPC(One Laptop per Child)米インテルが脱退したというニュースのことを思い出した。

 インテルが、途上国の子供にパソコンを提供する活動を進めるOLPCに参加したのは2007年7月のこと。あっという間の脱退だった。実は、インテルは、その年の3月にClassmate PCというパソコンの規格を作成している。この企画に沿って作られた製品の実勢価格は約200ドルだ。Classmate PCを巡っては、OLPCの創設者であるニコラス・ネグロポンテ氏(Nicholas Negroponte)が随分と批判していたので、仲直りできてよかったなあと思っていたのだが、早々に決別してしまった。

 僕は、これらの出来事が、貢献モデルと市場モデルの争いのようでちょっと気になっていた。ネグロポンテ氏はあちこちで、OLPCのプロジェクトが100ドルパソコンをつくるためのプロジェクトではなく、途上国のための貢献的な教育のためのプロジェクトであることを主張している。その後、200ドルから400ドルくらいの低価格パソコンがいろいろなメーカーからリリースされているように、当初、僕たちの目を引いた100ドルパソコンという魅力的なうたい文句は、市場モデルの世界で実現されようとしている。