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 iPhoneに次いで、2007年に次に影響力を与えた装置は「Amazon Kindle」(以下、Kindle)だ。

 Kindleは本と雑誌を読むことができる。目標は、印刷物と同じくらい簡単かつ快適に使えて、1000冊の本、日刊紙、雑誌など、読みたいものを何でも保存して、全て簡単に利用できる装置だ。現在のKindleがその目標を実現しているかどうかは重要でない。それは目標であり、明らかに達成可能な目標である点が重要なのだ。

 Kindleは電話でもカメラでもGPS機器でもない。汎用的な携帯型コンピューターでもない。現時点では、Kindleは、それらとは別の“もう一つ”の装置として持ち歩かなければならない。それは本とほぼ同じくらい簡単に持ち運べる。そしてユーザーは、使うのも読むのも同じように簡単だとレポートしている。いくつか改良できる点があるかもしれないが、未来への確実なステップである。

 アマゾンはKindleに対応する販売方式を構築し、それ自体が出版の性質を変えつつある。アマゾンは本を発表した著者が本を「印刷」形式にするのを簡単にして、Kindleで販売できるようにした。この動きは出版を取り巻く環境の変化とは無関係に、偶然起こったわけではない。この傾向は継続するだろう。

出版の未来

 iPhoneとKindle、これら2つの新しい装置が作り出した潮流(すなわち、電話としても使えるより小さくより強力なコンピューターと、ユーザーが本や雑誌を快適に読めるようにする装置)はいずれ統合されるだろう。今年はそうはならないだろうが、10年はかからないだろう。最終的な装置がどのようなものになるか、私にはわからない。それが電話、ボイスレコーダー、カメラ、Webブラウザー、そして本、雑誌および新聞を読むのに十分よいリーダーを組み合わせたものになるだろうと確信する。さらに、それはWebブランジングと電子メールも処理し、現在位置がわかるGPSも搭載されるだろう。

 エレクトロニクス製品の機能や性能、盛り込まれた技術自体が、製品の制限となる要因にならないことに注目して欲しい。エレクトロニクス製品はすでに十分強力なので、装置の大きさから生じるシステムの制限となる要因は、ヒューマン・インターフェースである。スクリーンは非常に小さくすることができ、キーボードは使いやすくなるはずだ。新しいシステムを構築する上での問題は、電子工学の問題というより、人為的要因の創意工夫だ。多くの人がそのチャンスを歓迎するに違いない。

 これらの装置の人気が高まるにつれ、電子ブックが大衆向けペーパーバックの売上高をどんどん切り崩すだろう。私は、これが大衆向け書籍の出版にどのぐらい影響を与えるかわからない。だが、大衆向けペーパーバック本市場は非常に大きな打撃を受けるだろう。例えば、こうした装置がユビキタスになれば、ミステリーや冒険小説(そしてもちろんSFも、だ)の空港における売り上げは、がた落ちになるだろう。オンラインで本を買う方が簡単になる。空港はどこも高速Web接続が可能な環境を提供してくれている。また、飛行機で読むために紙の本が欲しいと思う人はほとんどいない。乗客が飛行機から降りるとき、多くの人が座席に本を置いていってしまうのがその証拠だ。

 保存するためにペーパーバックを買う人も、間違いなくいる。だが、ほとんどの人は単に情報を得るためにペーパーバックを買う。そして紙の本を買うということは、持ち歩く荷物が一つ増えることを意味し、それは彼らにとって少々困った事態ということだ。

Macがマーケットシェアを獲得

 別の重要な動向はAppleの成長と力である。これまでのところ、Appleはせいぜい小規模な愛好家グループを相手にする企業で、実際のマーケットシェアは持っていないように見えた。

 それは明らかにもはや真実ではない。アップルはマーケットに報復するために戻ってきた。かつて熱狂的なWindows支持者だった多くのユーザーが、今ではほとんどのユーザーにMacを推薦するほどだ。これはもはや単にクールだとかトレンディだとかいう問題ではない。アップルはUNIXオペレーティング・システムをミニーおばさんでも使えるようにしながら、そのOSの力をエキスパートが発揮できるようにもしている。この傾向には疑問はない。アップルはもはやニッチなマシンではない。Macの製品ラインはどの市場でも競合でき、かなりの市場で他のマシンに勝っている。私は、大学の新入生はMacBook Proを持ち歩くようためらいなく勧める。高校生とミニーおばさん(もし彼女がポータブル機が必要なら)はMacBookを買い、デスクトップでよいならMac Miniを買うことだ。

 Mac OS Xは、今Windowsのどのバージョンとも同じくらい強力である。習得するのはWindowsと同じぐらい簡単だ。WindowsとPCに慣れている人にはいくつか障害があるだろう。しかし、それらは克服できないわけではない。マイクロソフトはもはや独占企業ではなく、再び競争し始めなければならないだろう。これは我々すべてにとってよいことだ。