【松浦晋也(まつうらしんや)】
ノンフィクション・ライター。宇宙作家クラブ会員。 1962年東京都出身。日経BP社記者として、1988年~1992年に宇宙開発の取材に従事。その他メカニカル・エンジニアリング、パソコン、通信・放送分野などの取材経験を経た後フリーに。nikkeiBPnetに「松浦晋也の『宇宙開発を読む』」を、SAFETY JAPANに書評を、それぞれ連載中。
著書:
「H-IIロケット上昇」(日経BP社、1997年)
「われらの有人宇宙船」(裳華房、2003年)
「国産ロケットはなぜ墜ちるのか」(日経BP社、2004年)
「スペースシャトルの落日」(エクスナレッジ、2005年)
「恐るべき旅路 火星探査機のぞみがたどった12年」(朝日ソノラマ、2005年5月)
「日本列島は沈没するか?」(共著:早川書房、2006年)
「エルピーダは蘇った」(日経BP社、2006年)
「宇宙へのパスポート3」(笹本祐一著、解説者として参加、2006年)
「コダワリ人のおもちゃ箱」」(エクスナレッジ、2007年)
「昭和のロケット屋さん」(共著:エクスナレッジ、2007年)
松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」
目次
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恐怖を超えて新しいアイデアで技術を使いこなせ
前回、ドローンの規制の話を書いたが、実のところ日本においては新技術に対して「まず規制」という態度が顕わになることが過去にも何度もあったことに思い当たった。どうもここしばらくの日本社会は、新しい技術に対してまず「なんとなく怖い」あるいは「既存の秩序が壊れるのではないか」という反応を示し、防衛的に規制…
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ドローンを規制すれば日本は衰退する
4月22日に首相官邸屋上で、クアッドコプターという形式の無人航空機(ドローン)が墜落しているのが発見され、搭載された容器中から微量の放射性物質が検出されたために「テロだ」と大騒ぎになった。
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何のための情報収集衛星なのか?(その4) 衛星観測で得られるのは「地球の今」のデータである
冷戦時のような、「偵察衛星でしかできない、国にとって絶対必要な情報収集」という用途はすでに存在しない。冷戦時に開発された偵察衛星技術を転用した民間地球観測衛星は、偵察衛星並みに精細な衛星画像をごく当たり前に世界中を相手に販売している。
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何のための情報収集衛星なのか?(その3) 衛星で地表を見る、地表から衛星を見る
情報収集衛星の概要、偵察衛星の歴史と、偵察衛星を考えるに当たって必要となる基礎知識を2回にわたって解説した。ここからは、日本政府が運用する偵察衛星「情報収集衛星(IGS:Information Gathering Satellite)」をどうすべきかを考えていく。情報収集衛星の概要、偵察衛星の歴史…
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何のための情報収集衛星なのか?(その2) 何のための偵察衛星か――偵察衛星の歴史
昨年7月以降、連載を中断してしまい、大変申し訳ありませんでした。小惑星探査機「はやぶさ2」を主題とした書籍2冊を同時並行で執筆していたのです。「はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙探査」(講談社現代新書)と、「小惑星探査機『はやぶさ2』の挑戦」(日経BP社)です。
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何のための情報収集衛星なのか?(その1) 情報収集衛星とはこんなもの
前回、安全保障とインテリジェンスの話を始めてしまったので、流れに乗ってこれから何回か、日本が現在運用している偵察衛星の情報収集衛星(IGS:Inforamation Gathering Satellite)の話をしたい。情報収集衛星は、安全保障にとって大変大きな問題なので、一般の人向けにきちんと分か…
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国レベルだけではない、本当の安全保障
前回のラストで「次回からはもう少し足を地に着けた話に戻ろうかと思います」と書いておいて申し訳ないのだが、今回は政治の話をする。集団的自衛権を巡る政府の態度だ。
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技術が変える国の形
前々回、「巨大不平等を是正して、経済を回すには」を書いてから、一体国家とは何なのだろうか、と考えている。
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児童ポルノと単純所持――表現の自由を守るために
6月5日、衆議院で「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案」が可決された。1999年に施行された「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(最終改正は、2011年6月)への改正案だ。
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巨大不平等を是正して、経済を回すには
未来学という学問分野がある。科学・政治・経済などすべてをひっくるめて未来の人類社会がどうなっていくかを考察する学問だ。今は下火になっているが1960年代から80年代にかけては大変盛んだった。
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自律機械のある未来
前々回に移民と人口減の話を書いたが、その後も動きが続いている。政府は4月4日に開催した関係閣僚会議で、東日本大震災からの復興事業や東京オリンピックの設備建設で、人手不足が起きるとして、外国人労働者の受け入れを拡大する緊急対策を決めた。
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人間中心的な世界認識と科学の関係――小保方問題から考える
今回は多能性獲得細胞と、人は人しか気にしないということ(その1)の続きを考えていく。とはいえ、前回書いた時点から状況は大きく変わってしまった。
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より長く、健康に生きることを強いられる社会へ
前回の「社会はアルコールをどう扱うべきか」では、さまざまなご意見をいただいた。どうもありがとうございます。さて、前回「少子高齢化が進行し高齢者医療費が増大する中で、私達はより長く、健康で働かなくてはいけなくなっている」と書いて引いたが、その続きである。
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社会はアルコールをどう扱うべきか
以前、「社会はタバコをどう扱うべきか」という回で、社会はタバコをどう扱うべきかという問題を取り上げ、最後を「実はアルコールについても似たようなことを考えているのだが、これはまたいずれ機会があったら書くことにしよう。」と締めた。今回は宿題の回答として、アルコール類の取り扱いを考えていこう。
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移民、人口減、そして女性問題
2月24日、内閣府は、「外国からの移民を毎年20万人受け入れ、出生率も回復すれば100年後も人口は1億人超を保つことができる」とする試算を示した――とする報道があった。
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集団的知性と集団的痴性
今回は理化学研究所が発表した多能性細胞の話の続き――の予定だったのだが、2月14日金曜日になって、論文中で使用された写真に偽造の疑いありというような話が出て来て、理化学研究所が専門家による調査を開始したという報道までなされた。理化学研究所は「現時点では研究成果は揺るぎないと判断しているが、外部から…
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多能性獲得細胞と、人は人しか気にしないということ(その1)
生物学の常識がどんでん返しを食らった1月
1月29日、理化学研究所から驚くべき研究が発表された。体細胞が酸性溶液の刺激など、比較的単純な刺激でさまざまな細胞へと変化する能力を持つ多能性細胞に変化するというのである。
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生物は賭けを好む
猪瀬直樹前知事辞職にともなう都知事選挙が近づいている。私は都民ではないので、投票できないのだが、可能ならば2020年東京五輪を返上する候補に投票するだろう。東京はすでに7年というような限られた時間内でインフラ整備をするには成熟し過ぎている。
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カラシニコフの死とAK-47と核兵器
今回は国際関係に詳しい人やミリタリーマニアの間では常識だが、必ずしも一般に広く知られているとは言い難い話を書くことにする。昨年末の12月23日、ロシアの技術者、ミハイル・カラシニコフが死去した。享年94歳の大往生だった。
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特定秘密保護法の改正案を考えよう
前々回危惧を表明した特定秘密保護法案が、国会で可決されてしまった。審議と採決はいかにも強引だった。審議開始が11月7日、44時間の審議の後11月26日午前に衆議院・安全保障特別委員会で強行採決。自由民主党、公明党、みんなの党の賛成多数で可決。同日夜、衆院本会議で維新の会が退席した状態で可決。参議院に…