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 韓国でもマイクロソフトによるヤフー買収騒動は注目されている。買収額をめぐる綱引きがしばらく続きそうだが、結局は時間の問題で、マイクロソフトとヤフーは一つになるだろうというのが韓国国内での大方の見方である。

 韓国では今回の買収騒ぎをマイクロソフトとヤフーの問題というよりも、マイクロソフトとグーグル(そしてマイクロソフトが嫌いな集団)との戦いとみており、マイクロソフトがまずヤフーを飲み込んで、全力でグーグルを叩きのめしにいくととらえている。マイクロソフトは露骨にグーグルを嫌がっているし、グーグルもマイクロソフトによるヤフーへの敵対的買収に反対すると表明しているからだ。

 今までWindowsとOfficeがパソコンを支配していたのに、これからはグーグルと、グーグルの携帯電話のプラットフォーム「アンドロイド」がWebとパソコン、携帯電話などの情報機器のプラットフォームになろうとしているといわれているだけに、マイクロソフトとグーグルの対決は避けられない。実際、最近のマイクロソフトは、メッセージングサーバーやOfficeソフトをSaaS(Software as a Service)で提供すると発表したり、MSNポータルやWebメール、ストレージサービスを強化したりしている。こうした動きは、OSやソフトウエア企業というよりも、グーグルに対抗するインターネットサービス企業へと変化していることを如実に示している。

 グーグルが指摘するように、マイクロソフトはこれまでに、OSでの圧倒的な地位を利用して関連する新しい市場に次々と手を出し、その市場でも地位を築いてきた。確かに、市場シェアのほとんどを握っていたNetscapeが、OSに無料で付いてきたInternet Explorerの登場により姿を消したし、マイクロソフトとの共同開発ではあるがIBMのパソコン向けOSも市場から消えたし、Officeが登場してから韓国産ワードプロセッサーを使うのは官公庁ぐらいになってしまったことなどを考えると、マイクロソフトに睨まれたらもう最後というように思われも仕方ない。

 それでもオンライン広告ではグーグルを超えられない。2007年410億ドルだった世界オンライン広告市場は2010年には約2倍の780億ドルへ急成長すると予想されている。全世界の検索広告の75%がグーグルの持つシェアだそうだ。マイクロソフトはオンライン広告やインターネットがここまで成長するとは思っていなかったようで、慌てて「アドセンター」という広告プラットフォームを作ったものの、ライブサーチと同じようにグーグルにはかなわない。結局、ヤフーと一緒になることでグーグルのオンライン広告のシェアをもぎ取る戦略なのか。2007年、マイクロソフトのオンライン広告の売上は14億1000万ドルで、61億2000万ドルのグーグルに比べると4分の1に過ぎないが、33億3000万ドルのヤフーと合わせればかなり近づくことができる。

 ウォールストリートジャーナルは、マイクロソフトがヤフーに興味を持つ理由の一つにアジア市場があるとも分析している。ヤフーは韓国では人気がないものの、日本、台湾、東南アジアではポータルサイトの代表格である。マイクロソフトがヤフー買収に巨額を投資するとしているのはグーグルの力がまだ浸透していない欧米以外の国のシェアを高め、徐々にグーグルを追い詰めるという計算があったからだろう。

 韓国におけるポータルサイトのシェアは圧倒的な差でNAVERが1位(日本でオンラインゲームサイト「ハンゲーム」を提供しているNHN社)。その次がDAUM、NATEと韓国企業が掌握している。韓国MSNのシェアは0.13%、Yahoo! Koreaは3.9%に過ぎない。このため、この2つが合体しようが何をしようが韓国市場に直接的な影響はないとみられている。しかし、マイクロソフトへの依存度が高過ぎる韓国では、どう転ぶか分からない。あくまで仮定の話ではあるが、マイクロソフトとIPTVで提携しているDAUMをも飲み込んだとしたら。これは大変なインターネット業界再編になるだろう。

 マイクロソフトとグーグルの火花散る競争により世界がひっくり返るような面白いサービスが登場しそうな気配はする。ライバルがいるというのは刺激になるのでとてもいいことだが、自分の懐のことばかり気にしないで、何のために競争しているのかを忘れないでほしい。