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 佐賀にうかがうことになったのだが、往路のチケットで直行便がとれず、朝早く、福岡空港に降り立った。福岡に早く着くのは良いことである。朝の博多駅の売店には、大分の「吉野鶏めし」の手作りおにぎりが売っている。僕はこれが好物で早速買って朝食代わりに列車の中で頬張った。

 博多から佐賀までは特急で40分もあれば着く。駅には佐賀県の最高情報統括監(CIO)の川島宏一(かわしま ひろいち)さんが待っていてくれた。実は、川島さんと僕は、筑波大学の都市計画系の同じ研究室の出身で、同じように、まちづくりの仕事からスタートして情報化の仕事にたどり着いている※1

 だから川島さんは、いつもリアルなアナログの世界を大切にする。他のCIOと違ってテクノロジーにこだわらず、人がやっている仕事の効率性を丁寧に分析する。世界銀行で身につけた経済性の視点を武器に、人のやるべきところとITのやるべきところを上手に分けて成果を上げる。日経BPガバメントテクノロジーの「自治体ITガバナンスランキング」で佐賀県を都道府県No.1に輝かせたように、まさに、ITガバナンスという言葉がぴったりくるのが、川島さんの仕事ぶりだ。

 例えば、役所には、紙の台帳が無数にある。これを各担当課は縦割りでバラバラに台帳をシステム化しはじめる。川島さんは、これを何とかしようと考えて、新しいシステムを大手ベンダーに発注するのではなくて、地元企業と協働して台帳記録管理システムを開発した※2。川島さんの分析はこんな調子だ。従来からの台帳管理業務は、(1)本庁と現地機関で多大な照会確認業務が発生している。それにも関わらず、(2)現場ごとに多大なコストをかけて独自の処理ソフトを作りこんでおり、改修の度にベンダーに依存している。電子申請で処理する事務件数は約600件であり、様式は約3000様式、これを個別でシステム化すると1書式の単価を約30万円と計算して9億円という莫大な経費をかけることになる。その上、(3)いつ誰がデータを更新したかについての履歴の管理も不完全だ。佐賀で開発されたシステムは早速、福岡県でも導入されることになった。

 川島さんが運転する軽自動車の中では仕事の話に花が咲いた。その仕事ぶりにはいつもながら感心するのだが、カンシンといえば、僕の「関心」の方は、やっぱり、約束したお昼ご飯をどこで食べるかにもあって車の行き先が気になる。2人が向かったのは、「JAさが」がやっている「佐賀牛レストラン 季楽(きら)」の本店だった。昼から最高級の佐賀牛もいいのだけれど、2人とも「焼きしゃぶランチ」のサラダ、野菜盛、ご飯(佐賀県産米)、汁の物、香の物、お飲み物付1,365円を注文した。季楽の肉を見る目はさすがで、最高においしかった。それなのに値段は超リーズナブルだ。九州はうまかもんが多い。おいしいものの情報は必ずみんなで共有される。だから、うまかもんが多いところには良い情報化の事例が必ずある。

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