HTMLだけでリッチなWebサイトを楽しめる世界。それを目指してグーグル、マイクロソフト、アップルなどWebブラウザーの開発元は、こぞってHTML5への対応を急ぐ。パソコン以外の機器への移植も積極的に進める。
主要なWebブラウザーのHTML5対応はどこまで進んでいるのだろうか。順に見ていこう。
まずはグーグル。Web検索で最大手の同社は、HTML5に関しては業界の旗振り役といえる。積極的にHTML5の標準化にかかわっており、その影響力は非常に大きい。
同社はWebブラウザー「Chrome」を開発し、2008年から無料で配布している。Chromeは、「Chromium」と呼ぶ自社が主催するWebブラウザー開発プロジェクトがベースとなっている。Chromiumでは、HTML5の仕様策定を進めているW3CやWHATWGといった標準化団体と足並みをそろえ、追加する新機能を実際にプログラムとして作成。これをソースコードごと公開しているため、他メーカーはこれを自社のWebブラウザーに流用できる(図1)。Chromiumの成果を取り込み、グーグル独自の機能を追加したカスタム仕様版がChromeということになる。
ChromeはWindows版とMac版のほかにも、より幅広い機器へ移植されている。ネットブックなどを狙った現在開発中の同社独自のOS「Chrome OS」、スマートフォンOS「Android」、5月に発表したテレビ向けプラットフォーム「Google TV」のそれぞれで、WebブラウザーとしてChromeを採用している。自社のOSを搭載した機器なら、最新のHTML5技術に対応したWebサイトを同じように見られるようにする戦略だ(図2)。