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 ファイルの謎は数あるが、謎の宝庫といえば「画像(静止画)」および「動画」ファイルであろう。ここでは、理解しているつもりで意外と分かっていない画像・動画の謎を解説する。

多数の形式が混乱の元

 画像や動画は、多数のファイル形式が存在する。この複雑さが正しい理解を妨げる要因の一つとなっている。ファイル形式の違いは「圧縮方式の違い」と置き換えると理解しやすい。

 なぜファイル形式が増えたのか。それは、画像/動画のファイルサイズが飛躍的に増大したためだ。パソコンは画像を点(画素、ドット、ピクセル)の集合として取り扱う。カラーの場合、1ドットを赤(R)、緑(G)、青(B)の組み合わせとして多段階の階調で表す。各色8階調のトゥルーカラー(24ビット)が一般的で、1ドット当たりの情報量は24ビットとなる。例えばフルHD(1920×1080ドット)の画像であれば、1920×1080×24=4976万6400ビット分(約6MB)の情報だ。最近のデジタルカメラは5184×3456ドットといった高解像度撮影が可能で、そのままなら画像1枚で4億2998万1696ビット分(約54MB)の情報が詰まっていることになる。

 こうした大容量のデータをそのまま扱うのは大変だ。光ディスクなど限りある容量のメディアに画像を収めたり、低速なインターネット回線経由で画像を表示したりするために、より効果的な圧縮技術が次々と開発された(図16)。その結果、さまざまなファイル形式が登場したのだ。

●ファイルの圧縮・展開の仕組み
図16 圧縮したファイルは、展開すると元に戻る。これを「可逆圧縮」と呼ぶ。元の文字列を、特定のルールで少ない文字列に置き換えるなどしてデータの総量を圧縮する。一度圧縮したら元の状態に戻せない「非可逆圧縮」方式もある
図16 圧縮したファイルは、展開すると元に戻る。これを「可逆圧縮」と呼ぶ。元の文字列を、特定のルールで少ない文字列に置き換えるなどしてデータの総量を圧縮する。一度圧縮したら元の状態に戻せない「非可逆圧縮」方式もある
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