駅や空港、喫茶店などに設置された無線LANのアクセスポイントでインターネットに接続できる公衆無線LANサービス。ここ数年でアクセスポイントの整備が急速に進み、都心部の駅周辺や繁華街を歩けば、無料または月額数百円程度の低額で使えるアクセスポイントが簡単に見つかるようになった。
パンク寸前の3Gから分散
最近になって公衆無線LANが急速に広がってきたのは、スマートフォンの普及により既存の3G回線がパンク寸前となっていることが背景にある(図1)。NTTドコモやKDDIなどの移動体通信事業者各社は、都心部で公衆無線LANを整備することで、通信を3G回線から分散させることを狙う。一方、固定通信事業者やコンビニ、喫茶店などの店舗も、公衆無線LANの提供によりサービスや店舗の利用拡大につなげたいと、設置を進めている。
常に混み合って通信速度が慢性的に遅くなっている3G回線とは違い、公衆無線LANは高速で快適にネット接続できることが多い。ただし、都心部の人口密集地では、公衆無線LANとモバイルルーターが増え過ぎ、無線LANの電波同士が相互に干渉して速度が低下しているケースも出てきた(図2)。
公衆無線LANを提供する事業者は主なものだけでも10社以上あり、それぞれ利用シーンが異なる。ここでは、(1)移動体通信事業者、(2)無料の公衆無線LAN事業者、(3)有料の公衆無線LAN事業者──の順に活用法を見ていこう。
まずは移動体通信事業者が提供する公衆無線LANサービスだ。契約プランなどの条件はあるものの、自社回線でスマートフォンを契約しているユーザーに対し無料オプションとして公衆無線LANを提供している(図3)。各社とも、10万~20万カ所という規模を目指し、都市部の駅や喫茶店などにアクセスポイントを急ピッチで増設している。
なお、一般に公衆無線LANは、スマートフォンやパソコン、iPod touchなど幅広い機器で接続できるが、ソフトバンクモバイルについては自社契約のスマートフォンなどからの接続のみ許可しており、パソコンからは接続できない。