ウィンドウズ・パソコンの不満の1つに、「起動に時間がかかる」ことがある。最近流行りのスマートフォンやタブレットは、起動が高速なので、そちらに慣れるとより遅く感じられる。
それを打開すべく、ウィンドウズ8ではパソコンの起動を高速化する「ハイブリッドブート(高速スタートアップ)」という新しい機能が組み込まれた。編集部で実際に起動時間を測定したところ、ウィンドウズ7のシャットダウンからの起動と比較して、実に42%も短縮された(図1)。この驚くべき高速化の仕組みを見ていこう。
OSの中核だけ保存して、そのほかはリフレッシュ
パソコンの起動時には、(1)OS起動に必要な膨大なファイルの読み込みと初期化、(2)ハードウエア(ドライバー)の初期化、(3)ユーザー設定状況の読み込み─といった作業が順次実行される。特に(1)の作業は時間がかかる。このため、パソコンの劇的な起動短縮は難しかった。
これまでも、ユーザーが利用しているウィンドウズの状態を“丸ごと”一時保存して、そこから復帰することで、起動を高速化する仕組みはあった。メモリーに状態を保存する「スリープ」や、HDDに保存する「休止状態」だ。しかし「OSの状態がリフレッシュされないといったことから、積極的に使うユーザーは少なかった」(マイクロソフト)。
そこで開発されたのが今回のハイブリッドブートだ。これは、通常起動と休止状態のいいとこ取りをしたもの。休止状態では、今使っている状態をユーザーの設定や起動中のアプリの情報まで含めて丸ごと保存する。一方ハイブリッドブートでは、OSの中核機能(カーネル)だけを保存する。そして、これ以外の情報はすべてリフレッシュされる(図2)。
保存するのがカーネルだけなので、休止状態ファイルの読み込みにかかる時間は短くなる一方で、OSの状態やハード(ドライバー)は初期化されるため、動作は安定するというわけだ(図3)。