携帯電話を電子マネーのカードや定期券代わりに使える「おサイフケータイ」を使いこなしているという人も多いだろう。リーダーに端末をタッチさせるとピピッと読める。これもアンテナを通してデータをやり取りする無線通信の一種だ。
最近人気のスマートフォンの場合は、海外メーカーの製品などでおサイフケータイの機能がないものがある。海外メーカーにとって、日本独自のサービス向けに機能を実装することはコストに合わないことがあるからだ。ただ、今後はその状況は徐々に変化していきそうだ。近距離無線通信の規格を統一した「NFC(Near Field Communication)」方式が世界中に広がりつつあるからだ。
NFCは、おサイフケータイで使われているFeliCa方式のほかにもType A/Bといった複数の方式をまとめた規格(図A)。用途は主に3種類。一つは街中のカードなどを読み取るリーダー/ライターの機能。次にICカードの代わりに使うエミュレーション機能、最後にNFCの機器間でデータをやり取りする端末間通信(P2P)の機能である(図B)。
ただ、NFCの規格では無線の送受信の技術に関する部分しか定めていない。おサイフケータイのような個人情報を扱う用途に対応するには、それぞれの方式に合わせたセキュリティ機能を別途搭載しなければならない。NTT ドコモは2012年内にFeliCaとType A/Bのセキュリティ機能を搭載したスマートフォンを投入することを目指している(図C)。