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カタログの仕様表は数字の山。その正しい意味を読み解くのは大変だ。仕様表のスペック値には、メーカーならではの表記もある。きちんと理解した上で参考にしたい。

無線LANに2種類の速度が表記される理由

 パソコンに限らず幅広く使われる無線LAN。最新製品のカタログを見ると、「866+300Mbps」などと2種類の通信速度を併記していることがある(図1)。この2つの数字は何を意味するのか。

●11acと11nの通信速度を併記
図1 一部の無線LAN製品は11acと11nの両方に対応し、2種類の通信速度を併記している
図1 一部の無線LAN製品は11acと11nの両方に対応し、2種類の通信速度を併記している
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 結論からいうと、一方は最新の規格「IEEE 802.11ac」、他方は既存の規格「IEEE 802.11n」の通信速度を表している。ただし、それぞれの通信速度は、規格上の最大通信速度とも異なっている点に注意したい。

 無線LANの通信速度に関する要素技術は2つある(図2)。一つは周波数帯域を束ねる「チャンネルボンディング」。11n規格では、帯域幅が最大40MHzまでだったのに対し、11acでは80MHzや160MHzが利用できるようになった。

●11acの通信速度を上げる要素技術
図2 11acの規格は、11nに比べ、無線の帯域幅とMIMOのアンテナ数をそれぞれ強化している
図2 11acの規格は、11nに比べ、無線の帯域幅とMIMOのアンテナ数をそれぞれ強化している
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 もう1つは、「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」と呼ぶ、データを複数のアンテナを使って並列に送信する技術。アンテナの数が増えるほど高速になる。11acのアンテナ数は、11nの最大4本から最大8本に拡張された。

 こうした要素技術の進歩により、11acの理論上の最大通信速度は1Gbpsを上回る。また11nは最大で600Mbpsとなる。

 しかしながら、11acにせよ11nにせよ、仕様には幅がある。製品が採用する仕様によって最大通信速度が変わるのだ(図3)。現行の11ac製品は80MHz帯を採用し、アンテナ3本の1300Mbpsモデル、アンテナ2本の866MHzモデル、アンテナ1本の433MHzモデルの3種類がある。11n製品は40MHz帯域で、アンテナ3本の450Mbpsモデルやアンテナ2本の300Mbpsモデルが主流だ。

●同一規格でも最大通信速度に差
図3 最大通信速度は、基本的に帯域幅とアンテナ数によって決まる。ただし、国内の現行製品では最上位機種でも、周波数幅が80MHz、アンテナ数は3本である。アンテナ数は機器ごとに異なる
図3 最大通信速度は、基本的に帯域幅とアンテナ数によって決まる。ただし、国内の現行製品では最上位機種でも、周波数幅が80MHz、アンテナ数は3本である。アンテナ数は機器ごとに異なる
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 11ac製品の大半は、既存の11n規格にも対応している。冒頭のように2つの規格の通信速度が併記されるのはこのためである。

 なお、製品によっては「11ac 技術採用:600Mbps」などと表記されていることがある。これは規格が認可される前に11acのデータ変調技術を取り入れた11n規格の製品だ。