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 「その原因は、利用者にとって使い勝手が悪いことに尽きる。」その原因とは、国の手続き1万4000種類のうち95%がオンラインで届出・申請できるようになっているにも関わらず、その利用が進まない原因のことである。

 このコメントは、経済財政諮問会議(平成20年第6回)で、この会議の有識者議員4氏が連名で提出したものである※1。資料はさらに続けて重要な指摘をする。それは政府が電子化を進めるにあたって、各省庁がバラバラに内部業務をシステム化し、しかも業務の見直しを伴っていないから複雑で使いにくくなったというのだ。全く異論はない。

 このコラムでは何度か、役所の情報化に取り組む人たちが、実は役所の内部の抵抗に多大な労力を費やしていることを紹介した。今、情報化に取り組んでいる官僚や自治体職員は、情報化するにあたって、業務フローを見直し、制度を抜本的に見直さなければ、システムを構築しても、その業務の効率化や利用者の増大に結びつけることができないことに、おそらく気づいているはずだ。気づいているというよりも、あまりにも制度が複雑に絡み合っていて、情報化をあきらめているというほうが正しいかもしれない。年金制度とそのシステムの混乱などはまさにその象徴となる出来事だろう。

 制度の混乱に加えて行政職員の抵抗もある。以前のコラム「「e都市ランキング」の常連たち:神奈川県横須賀市」でも紹介したように、電子決裁の導入に際して効率性を高めるためには決裁権者を少なくすることが必須だ。だから職務権限に関わる規程を見直さなければならい。ところが、情報化は単に手段の変更なので職務権限を変更する理由にはならないと法制や財務の担当者が反対する。電子調達や電子入札を導入しようとすれば、指名競争入札を基本とする慣習を見直し、一般競争入札を基本とする運用を受け入れなければならない。しかし、契約を担当する職員は、これらの制度運用は、契約事務を円滑かつ適正に行うために、長い年月の中で整えられたものだから、単なる媒体の変更である情報化が制度運用の変更理由にはならないと抵抗する。