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 2.5インチのハードディスク(HDD)を内蔵した外付けポータブルHDDが中国の電脳街で普段より売れている。ショップのスタッフに聞くと、「ちょっとしたブームになっている」という。

 電脳街には、CPUやマザーボード、ビデオボード、PC本体などを扱わず、HDDケースやMP3プレーヤー、USBメモリー、ジョイスティック、マウスといったアクセサリー類ばかりを扱う小規模ショップが多数ある。これまでもこうした店舗ではポータブルのHDDやHDDケースが売られていたが、このところ、それらの売れ行きが「絶好調」(ショップスタッフ)というのだ。

 筆者が滞在している中国の地方都市でもその傾向は同じ。近所にあるショップで聞いてみたところ「2月の『艶照門事件』の影響で、3月に入ってから2.5インチHDDケースや、ケースに入れて使う数十GBの2.5インチHDDがよく売れている」という。しかも、パスワード機能などセキュリティ機能がついた製品が売れ筋だという。そのスタッフは私に、セールストーク用に使っているという「艶照門事件の影響でポータブルHDDがブーム」というWebニュースを印刷した紙を見せてくれた。

近所の電脳街にあるショップ

 艶照門事件とは、香港の俳優「陳冠希」が個人で使っているPCの修理を親しいショップに依頼したところ、PC内に保存しておいたある女優との「個人的な写真」がネットを通して流出してしまったという事件だ。中国ではこれを「艶照門事件」と呼んでおり、大変な話題になっている。

 私も、事件というほどではないものの、似たような経験がある。数年前に世界遺産となっている観光地へ旅行したときのことだ。大手フィルムメーカーのロゴを掲げたラボに行き、デジカメで撮った画像をCD-Rに記録してもらおうと依頼した。すると、ラボのスタッフは私の許可を得ることなく、勝手に写真を選んで別のフォルダにコピーするではないか。「何をするのだ」と抗議したところ、悪びれることなく「きれいな写真だから自分のコレクションにするのさ」とスタッフは答える。パーソナルなデータを勝手にコピーしてはいけない、という意識をまったく持っていないようだった。

 さて本題に戻そう。この事件をきっかけに、PCのユーザーはHDDに保存したファイルに関する個人情報に関心を持つようになった、と複数のニュースは報道している。こういったニュースは1つの地域からではなく、複数の地域からレポートされている。どうやら、中国各地の都市部で、こういった動きが出てきているようだ。

 「もっと安全にしたい」というニーズが掘り起こされて、セキュリティ機能付きポータブルHDDが売れているのも最近の特徴。中国国内で運営している製品紹介サイトの多くがセキュリティ機能付きポータブルHDDの新製品の製品紹介をするようになった。たとえばIT系ポータルサイト「it168」では、「陳冠希には絶対にならない!お勧めセキュリティ機能付きポータブルHDD」という比較記事を掲載している。

IT系ポータルサイト「it168」がオリジナルの「陳冠希には絶対にならない!お勧めセキュリティ機能付きポータブルHDD」という記事。この記事では外付けHDD7機種がレビューされた

 中国ではこれまで、リムーバブルメディアというとUSBメモリーやMP3プレーヤーが中心だった。最近ではこれらに加えて、ポータブルHDDも一般的になっている。CD-RWやDVD±RWなどの光ディスクでファイルをやり取りすることは少なく、3.5インチHDDを使った据え置きタイプの外付けHDDもマイナーな存在だ。

 中国で使われているリムーバブルメディアの多くは、USBメモリーでもHDDでも、日本に比べると容量が少ない。店頭にある多くのHDD製品は、数十GB程度の容量だ。PC本体も、デスクトップPCでようやく100GBを超えるクラスのHDDが普及してきたところだ。中国では、日本のようにPCに動画をHDDに保存する習慣はなく、それほど大容量のストレージデバイスを必要とされていないようだ。

 艶照門事件から1カ月以上過ぎたが、この事件を引き合いに出し、外付けポータブルHDDを紹介するメディアは絶えない。まだしばらくは、艶照門事件特需ともいえるポータブルHDD需要は続きそうだ。

PC系ニュースサイト「itxian」の3月26日付けの記事。意訳すれば「BenQモバイルハードディスクが市場に登場!セキュリティブームを全ての人が体験可能」