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 昨年末から、サンフランシスコ市内の大手スーパーではプラスティックバッグ(プラスティック製のレジ袋)の使用が禁止されている。まもなくチェーン薬局での使用禁止も開始される予定だ。

 アメリカのスーパーに行くと、たいていレジで「Paper or plastic?」と尋ねられる。ほとんどの店は紙とプラスティック両方のレジ袋を用意していて、客の希望を聞いて買った商品を詰めてくれるのだ。

 バカな話だが、私はこれまで紙とプラスティックのどちらが環境のためにいいのかよく分からなかった。紙は自然素材だから捨てても大丈夫だけれど、大切な天然資源を無駄遣いしているようにも感じられる。一方プラスティックはもちろん化学合成品だが、家に帰って生ゴミ処理に使えば役にも立つ。だが、このサンフランシスコ市の条例の背景を知って、プラスティックの方がずっと悪いのを知った。

 何でも、サンフランシスコ市では年間1億8000万枚ものプラスティックバッグが店先で客に手渡されているそうなのだが、これが捨てられて路上で風に舞い、配水溝をつまらせ、リサイクリング処理場では機械に絡んで故障の原因になっているのだという。

 もっと驚いたのは次の事実である。サンフランシスコ湾沖1000マイルほどの海上に、プラスティクバックを含むプラスティック廃棄物の島が浮かんでいるのだそうなのだ。その面積はテキサス州の2倍! テキサス州の面積が約69万5700平方キロ、日本の国土が38万平方キロなので、この島は何と日本の面積の4倍の大きさということになる。方々の海岸で埋め立てに使われたゴミの山から、プカプカと流されてここで集合したらしい。プラスティックバッグ、恐るべし。

 この条例の影響か、最近はどのスーパーでも独自のキャンバスバッグを売るようになった。お値段はたいてい1~2ドル程度と安く、なかなかにデザインのしゃれたものもある。かなり丈夫にできているし、サイズも大きいので、たくさん買物をしてもしっかりと中に入れて持ち帰れる。

 こんな禁止条例を出したのは、アメリカでもサンフランシスコ市が最初だそうだが、サンフランシスコ湾を挟んで対岸のバークレーは、条例がなくとも市民が以前からキャンバスバッグを持ち歩いている町で有名だ。1968年の学生運動やヒッピー発祥の地とあって、バークレー市民は何かと社会問題にうるさく、オーガニック運動やら環境意識となるとまっ先に身を乗り出して議論を始める人々である。

 例えば、バークレーにはチーズボードという名前のおいしいパン屋兼チーズ屋兼ピザ屋があるが、ここで買物をすると、ごく小さい紙袋以外には何もバッグをくれない。持ちきれない商品をどうやって車まで運ぼうかと途方にくれていると、店のカウンターの下に使い古した紙のショッピングバッグが重ねて置かれているのを見つけた。この使い古しは、おそらく店員が自宅から持ってきたか、客が家で余っているバッグを持ってきたものと思われる。客がそれを使うことでリサイクルされるというわけだ。経費削減も兼ねた地に足のついたやり方だが、それもそのはず。この店はコーポ(店員の共同経営組織)として運営されていて、コミュニティ意識が徹底しているのである。

 ここ1~2年で、確かにグリーン面での生活が変わったなあと実感する。この先どこまで行くのか。結構想定外の面白い発明など出てくるかもしれない。

■変更履歴
「巨大なプラスティックバッグの島」とありましたが、正確には「プラスティックバッグを含むプラスティック廃棄物の島」なので本文を修正しました。 [2008/4/30 10:30]