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 先日、日経パソコン本誌で、迷惑メールの特集記事を執筆しました。その際、「メールアドレスがどのように漏れるのか」を調べるために、複数の懸賞サイトにアドレスを登録してみました。「懸賞サイトに応募したら、途端に迷惑メールが送られてくるようになった」という話を、読者や知人、取材先からたびたび耳にしていたからです。

 実際、その話は本当でした。主観的に「怪しくない」と思う懸賞サイト20件に、実験用のアドレスを登録しました。すると、登録当日から、迷惑メールが届き始めました。登録から3週間後には累計で507通、4週間後には673通に達しました。

 迷惑メールのほとんどは、いわゆる「出会い系サイト」からのメールでした。いくつかの出会い系サイトに既に登録されていることになっていて、それらのサイトを通じて、多数の女性から自己アピールのメールが次々と送られてきました。

 出会いサイトが流行し始めた数年前には、「出会い系サイトで知り合って結婚した」といった話を雑誌などで読んだ記憶があります。結婚まで行かないまでも、「出会いサイトで知り合った人と実際に会ったことがある」といった話を、知人や「知人の知人」から聞いたことがあります。

 「一体、どんなメールのやり取りをしているのだろうか」。疑問に思っていました。今回、実験とはいえ、送られてくるメールを読むことができると思い、楽しみにしていました。体験してみて大笑い。送られてくるメールの多くが荒唐無けいだったからです。

 例えば、「会社社長」を名乗る女性から、「今日中に会ってくれれば、50万円差し上げます」といったメールが送られてきました。今回の実験では、どのメールに対しても、一切反応しませんでした。すると、その女性は「金額が少なかったのでしょうか」と言って、金額を上げていきます。1通ごとに50万円から80万円を加算していって、最終的には200万円を超えました。

 なぜ、見ず知らずの人に会うために200万円以上を支払うのか。普通に考えればおかしいですよね。本気にする人がいるのでしょうか。その後、「今日の15時までに返事をもらえなければ、もう終わりにします」といった最終通告のメールが来ました。もちろん“放置”です。これで、もう来なくなるだろうと思いきや、数日後、今までのことが何もなかったように、その「会社社長」からメールが来ました。会ってくれれば50万円くれるそうです……。

 以上は、ほんの一例です。大規模企業を経営するという女性からは、「500万円を用意しました。本日中に会ってください」との申し出がありました。返事をしないでいると、「500万円を現金で封筒に入れて持っています。外に出ます」とのメールがありました。「外に出ます」とのことですが、どこに行くのかは書いてありませんでした。

 また、別の女性からは、「3500万円を今すぐ振り込んで、私からの誠意を見せますよ☆」とのメール。本気にする方がどうかしていますよね。その後、「振り込む準備はできました。あとは会ってくれるだけ」といったメールが送られてきました。

 極めつけは、「私が女優だから一歩引いてるんですか?」というタイトルのメールでした。タイトル通り、送信者は私も知っているであろう女優さんだそうです。ただし「匿名希望」とのこと。そして、謝礼額はなんと1億円。

 金額で言えば「二代目ホテルオーナーさん」という方が(今のところ)最高額です。この方からは、「1億2千万円でドーですか?小切手でいいですかぁ」との申し出。年齢は20代後半だそうです。

 私が勝手に登録された出会い系サイトだけの傾向かもしれませんが、送られてくるメールのほとんどが、会うだけで高額の謝礼を支払うというものでした。こういったメールの狙いが、「相手の個人情報の収集」や「メールのやり取りで発生する手数料の徴収」なら、あまりにもうそくさくて逆効果だと思うのは私だけではないでしょう。それとも、ほかに狙いがあるのでしょうか。疑問は深まるばかりです。