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 ある日、中学3年生の奈津子さんは本屋さんに行きました。そこで料理の本を見ていると、おいしそうなおかしのレシピがのっていました。奈津子さんは、このおかしを作ってみたいと思いましたが、本を買えるだけのお金は持っていません。そこで、ケータイのカメラで撮影することを思いつきました。「本を万引きするわけじゃないし、これぐらいならだいじょうぶだろう」と思って、カシャッととってしまいました。すると、そこへお店の人が来て、「カメラで撮影されるのは営業ぼうがいになります。すぐにやめてください」と注意されました。これぐらいでもダメなの…?

解説

 携帯電話のカメラは年々画素数が上がり、今ではデジタルカメラそのものといってもいいほどきれいな写真が撮影できます。カメラをいつでも持って歩いているのですから、シャッターチャンスをのがさず便利に使えそうです。

 しかし、たくさんの人が暮らすこの社会には、写真をとってはいけないものや場所があります。カメラ付きケータイは時と場所を考えて使わないと、犯罪になることもあるのです。

デジタル万引き

 奈津子さんのケースが、この「デジタル万引き」になります。著作権法では、とった写真を友達にあげたり公開したりしなければ犯罪にはなりませんが、お店にとってはたいへんな迷惑行為になります。買ってもらえそうだった本が買ってもらえなくなるのですから、本を万引きされたのに近いわけです。そのために「デジタル万引き」という名前がついています。本屋さんに迷惑をかけないためにも、買っていない本を撮影することはやめましょう。

肖像権の侵害

○人格権

 相手に許可をもらわないで人の写真をとるのは「肖像権の侵害」という犯罪になります。例えば、あなたが町を歩いているときに、いきなり目の前にカメラを持った人が現れて、あなたの顔写真をバチバチとり始めたらどんな気持ちになるでしょうか。まずはびっくりするでしょうけど、その後はイヤな感じになったり、「失礼だなあ」とか「何に使うんだろう」と思うでしょう。それは、あなたが「いいよ」と言っていないのにかってに写真をとられたからです。そのように、心が傷つく場合は肖像権の中の「人格権」の侵害になります。人格権は有名人だけのものではなく、すべての人がもつ権利です。

○パブリシティ権

 肖像権にはもうひとつ「パブリシティ(財産)権」という権利があります。これは芸能人など有名人だけにある権利で、顔に商品としての価値がある場合です。本の表紙などに顔写真が使われると出演料がもらえるわけですから、かってに写真をとられて何人もの人の間を回されたりしたら損をすることになります。もし、町で芸能人に会って写真をとりたかったら、「写真をとらせてもらってもいいですか?」と一声かけて許可をもらってからにしましょう。

盗撮

 さすがに盗撮までやろうという人は、読者のみなさんの中にはいないでしょう。しかし、手軽に撮影できることを悪用して、女性のスカートの中などを撮影する人がいます。これは完全に犯罪ですから、見つかればすぐにつかまります。女性に対してとても失礼なことですし、こんな恥ずかしいことでつかまると自分が困るのはもちろんですが、親にもたいへんな迷惑をかけてしまいます。ぜったいにやってはいけないことです。

保護者の方へ

親がしっかり知識をもち、子どもに伝えましょう

 著作権や肖像権など権利に関することは、知らない間に加害者になってしまうことがあります。子どもだからと許されることではありません。まず保護者がしっかりした知識をもって、機会をみてお子さんに話してあげてください。