PR

 子供が、こんにゃくを使ったゼリーを喉に詰まらせて窒息死するという事故が発生し、製造・販売していた食品メーカーはついに販売を中止するという事態になった。
 この件について、インターネットでは「こんにゃくゼリーよりも餅の方が喉に詰まらせる可能性が高い。こんにゃくゼリーを責めるなら、なぜ餅を責めないのか」というような声が上がっている。今回は、生活の中のリスクについてちょっと考えてみよう。

 今回何が起きたかは国民生活センターの発表で知ることができる。

 2008年7月29日、凍らせたこんにゃく入りゼリーを、祖母が1歳9ヶ月の男児に与えたところ、喉に詰まらせた。病院に救急搬送されたが、9月20日亡くなった。

(事故発生年月:2008年7月29日 1歳9ヶ月 男児 兵庫県)

 こんにゃくゼリーは、低カロリーのダイエット食品として普及したが、以前から喉に詰まらせやすいことが指摘されていた。リンク先には1995年以降、1歳6カ月から87歳まで、主に幼児と老人で喉に詰まらせての死亡事故が17件発生したことが記載されている。

 この事件について異議を唱えたのは、インターネットで面白系ニュースを掲載しているメディア「GIGAZINE(ギガジン)」だった。10月1日付けの、「『こんにゃく入りゼリー』よりものどに詰まって死亡した件数が多い危険な食べ物ベスト10」という記事で、厚生労働省の「食品による窒息事故に関する研究結果等について」という発表に基づいて、「こんにゃくゼリーよりも危険な食べ物がいっぱいある」と主張したのである。

 GIGAZINEによれば、一定期間の死亡事例数を比べると、以下のようになる。

1位:もち(168例、「こんにゃく入りゼリー」の84倍危険)
2位:パン(90例、「こんにゃく入りゼリー」の45倍危険)
3位:ご飯(89例、「こんにゃく入りゼリー」の44.5倍危険)
4位:すし(41例、「こんにゃく入りゼリー」の20.5倍危険)
5位:あめ(28例、「こんにゃく入りゼリー」の14倍危険)

 きちんと調べた態度は立派だが、実のところGIGAZINEの調査は間違っている。なぜなら、餅も御飯もパンも、こんにゃくゼリーよりもずっと食べる機会が多いからだ。本当にそれぞれの食品固有の危険性を比較するためには、その食べ物を食べる回数に対する死亡事故という比率を算出しなくてはならない。

 GIGAZINEの記事には、「※こんにゃく入りゼリーの方が、ご飯などと比較して口にする割合が少ないので、『ご飯はこんにゃく入りゼリーよりもはるかに高い危険が食事のたびに付きまとっている』わけではないです。」という注釈が付いているので、執筆者は確信犯的に、この記事を書いているのだろう。