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 友人の一人はロンドン市内にいながらも、裏庭にプールやトランポリンを備え、寝室が6つ以上ある大きな邸宅に住んでいます。友人たちの間では夏のオアシスとして重宝されているのですが、こういった贅沢な環境にあるにもかかわらず、最近増えている、ある種の事件を懸念しています。その友人は警察からこう言われたそうです、「プールを狙った不法侵入が増えている。ロンドン市内でも同様のことが起きる可能性が大きい」。

 こういった事件はメディアにも報道されていて、グーグルマップを悪用している不法侵入者もいます。読者の皆さんも既にご存知でしょうが、グーグルマップは膨大なデータを用いて地図だけでなく画像も公開しています。その内容に驚いた人も多いことでしょう。こうした侵入者たちは、グーグルマップの特徴を利用して、ターゲットを物色しているのです。

グーグルマップで見つけられたロンドンのプール付邸宅

 暇を持て余した若者たちの中には、グーグルマップで近所の写真を精査し、プールのある屋敷に目をつけておき、住人がいない時を見計らって敷地内に潜入し、プール遊びを満喫するそうです。夕方になってその住人が仕事から帰ってくると、プール周辺が散らかったままになっていたとのこと。ソーシャル・ネットワーク・サイト(SNW)のFacebookでもこうした犯罪をイベントとして計画していたことが報じられています。(出典

 こうした犯罪の多くは愉快犯的なもので、物品の損失などの被害はあまりないものの、住民にとっては不法侵入に変わりなく、大いに迷惑がられています。警察に被害届けを出しても重罪ではないことから、あまり熱心に扱ってくれなかった事件が多いと報じられています。(出典

 ただ、スコットランドヤードとして知られるロンドン市警も手をこまぬいて新手の犯罪を傍観しているわけではありません。警察も犯罪撲滅活動の一環として、この秋から、グーグルマップを利用したロンドン市内の犯罪率マップを立ち上げました。各地域の犯罪率が色で分かるようになっており、色が赤に近いほど犯罪率が高く、黄色に近いほど低いことが一目瞭然です。(ウェブサイト

ロンドンの金融街シティー近くにある警察署正面

 これは5月にロンドン市長に就任したボリス・ジョンソン市長の公約の一つ。警察に頼るだけではなく、この犯罪マップを活用して自分自身で危険から身を守れるようにするということが基本的な考えです。犯罪率の高い場所を公表することは賛否両論ありましたが、こうした地域に警官を重点的に配置することで、公表するだけでなくその地域に対する取り組みを示すことも目指しています。警察にとっても、時・場所に関係なく、防犯情報を提供できるようになったことは大きなメリットでしょう。

 グーグルマップは便利なサービスですが、両刃の剣でもあります。警察などによる防犯を目的とした使用方法だけでは、自分の財産を守ることに不安を感じる人もいます。グーグルはこうしたプライバシーの侵害を懸念する人たちへの対処として、映像データをぼやかしたり、画像提供を止めるなどの措置を講じています。個人的なものに対しては本人証明が必要ですが、グーグルのサイトから申し立て可能です。(プライバシー関連のウェブサイト

 今回の件で明らかになったのは、英国の警察のIT化がかなり進んでいるということです。以前に紹介した防犯カメラの設置・運営だけでなく、インターネットを利用して一般市民にも注意を呼び掛けるなど、治安と防犯への取り組みを強化しているのです。

スコットランドヤードで知られるロンドン警察