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 大統領選までいよいよ2週間を切り、連日、両候補が最後の票固めに激しく遊説をしているさまが報道されている。その一方でウォールストリートやワシントンでは、1時間ごとにあれこれのニュースで株価が上がったり下がったりする。ここ1週間のアメリカはもう狂乱状態とでも言うべき、尋常さを欠いた精神状態にある。

 そこへ、今日はこんなニュースだ。「ヤフーが1400人の社員をカット!」

 今まで、金融危機は東海岸の騒ぎと遠目に見ていたが、とうとう危機がシリコンバレーにやってきた、という感である。

 1400人というのは全社員の約10%。オンライン広告市場の低迷を受けて、会社をより効率的にするのが目的という。刺激的なニュースばかり続いているので、1400人という数字にも驚かなくなっているのが、何ともすごい。

 いや、ヤフーだけではない。オンライン・オークションのイーベイも10月初めに1500人、チップ製造のエヌビディアは9月に360人のレイオフを発表している。シリコンバレーを拠点にする電気スポーツカー・メーカーのテスラ・モーターズも、一部社員のレイオフを敢行し、セダン型の電気自動車発売を半年延期。その上、ミシガンの工場まで閉じた。本当に肌寒くなってきた。

 ちょうど半年ほど前に、このテスラ・モーターズ社を訪ねたが、その際にはオフィスに活気があふれ、倉庫にはピカピカの電気スポーツカーが並んでいた。時速100キロ近くまでたった4秒で加速できるというリチウムイオン電池利用のロードスターは、価格が1200万円以上もするのだが、すでに1000台、1年先の製造分まで予約が詰まっていると聞いていた。

 カッコイイ電池スポーツカーがこの会社の売りだが、セダンはちょうどトヨタのプリウスに競合するようなモデルとして考えられていたはずだ。テスラには自動車業界の出身者がほとんどおらず、みなITや電池産業出身者だと聞いて、新しい自動車企業というのは、こういうところなんだなあと実に興味深かった。ITでグリーンでスタイリッシュ。テスラのこの勢いはちょっと楽しみだと思っていたのだが、それが先送りだ。

 レイオフはその他にも、音楽やビデオを核にしたSNSサイト、アイミームが4分の1の20人、ユーザー参加による検索エンジン、マハロも10%にあたる6人をカットするという。テクノロジー情報サイトのテッククランチが、「レイオフ・トラッカー」なるものをアップデートしているので、ご関心のある向きはそちらをフォローされたい。

 2003年のドットコム・バブル崩壊の際には聞かなかったが、最近はどこのベンチャー・キャピタリスとも投資先の新興企業のトップを集めて「お説教」をしているらしい。金を節約しろ、ビジネスは効率的に。そしてその中に、社員を何パーセントカットしろという項目が含まれているのだろう。

 ベンチャー・キャピタルによる新興企業の投資も昨年と比べて9%減っており、一般市民だけでなく、ありとあらゆる人々の財布のヒモがしっかり締まってしまったようである。

 カリフォルニア州の出業率は、今や何と7.7%にもなっている。ドットコム・バブル崩壊後が6%少しだったと記憶しているので、いろいろなニュースにかき消されているものの、事態はかなり深刻である。

 Web 2.0だ、グリーンだと騒いでいたところにこの爆弾。シリコンバレーがどう抜けきるか、じっくりと見守ろう。