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 パワーポイントを使って企画書や計画書をまとめるとき、あなたはどうしますか。目的、背景説明、市場分析、製品コンセプト…といった順番で何枚ものスライドを作ってまとめていくのが普通だと思います。しかしこのスタイル、見せられる側にはあまり評判がよくありません。日本サッカー協会のキャプテンを務める川淵三郎キャプテンが、日経PC21のインタビューで面白いことを述べています。

 今から15年前、川淵氏がJリーグを発足させたときの話です。当時、リーグへの参加を希望するクラブから、たくさんの企画書が寄せられました。本人曰く「そのなかで、一番よくできていたのがトヨタ(名古屋グランパス)の企画書だった。彼らが持ってきたのは、たった2枚。Jリーグにはこういう形で参加したいとだけ書いてあった。必要なことが簡潔にわかりやすく述べられている。それで十分だった」。

 「それにひきかえ、ほかのクラブの企画書は、やたらと分厚くて内容の薄いものばかり。余計なことがダラダラと書かれていて、読むに耐えなかった。滑稽だったのは、ほとんどのクラブが、冒頭に“Jリーグの理念”をまとめていたこと。もともと、Jリーグの理念は、僕が考えたもの。ほかの人から教わる覚えはない。当たり前のことを長々と書く企画書がいかに多いことか」

 Jリーグの創設者に向かって、Jリーグの理念を説く。釈迦に説法とはこのことです。しかし、私自身、この手の失敗をよくします。情けない話ですが、読み手の立場を考えず、自己中心的なプレゼン文書を作ってしまうのです。そんなときは、決まって長い文書になってしまいます。本当に大切なことは何か。それを十分吟味すれば、もっと簡潔で読みやすい企画書にできるのに…。

 ちなみにトヨタは、企画書をA3判(またはA4判)1枚にまとめることを原則としています。A3用紙を四つのエリアに分割し、それぞれに事業目的、企画内容、実行計画、販売戦略といったエッセンスを簡潔にまとめます。こうしたノウハウの一端が、Jリーグ創設の企画書にも現れたのでしょう。川淵氏の話を聞いてからは、企画書をまとめるたびに「短く短く」といつも自分に言い聞かせています。