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 前回はK4-GPとは何か、なぜ本企画で筆者が連載することになったのかを中心に話を進めた。読者の皆さんからは、私のところにも直接「僕も走ってみたい!」という熱いメールが何通か届いた。40歳を過ぎて直接言葉にするのは照れくさいが、やっぱり、自動車のレースに興味を持つ男子は決して少なくないということなのだろう。

 普段は“絶対無理”と頭から消し去っていても、もしかすると自分もチームを作れば参加できるかも、と思い始めると、とたんにやる気が沸いてくる。これほど身近で、趣味として楽しめる自動車レースは他にない。

 そんなK4-GPの魅力をさらにご紹介しつつ、ズズズっと2007年にさかのぼって、前回のセパン24時間耐久レースの経験から、どんなシステムをレース車両に組み込んでいけば良いのかを掘り下げてみたい。レースの楽しさを考えているとついつい忘れてしまいがちなのだが、この連載はK4-GP用のレーシングカーをIT化して、セパン24時間耐久レースに挑戦というお話なのである。

クルマ好きが集えるイベントを探して

 前回の記事を読んでいただいた方はお分かりだと思うが、筆者自身がK4-GPに参加したのは今年の夏が最初。前回のセパン24時間は経験していない。そこで、前回の24時間レースではどんな出来事があって、どんな問題が発生したのか。実際に参戦していたカプチーノのオーナー、もりかわ氏とメカニックの青木さんに話を聞いてみることにした。

 簡単に2人を紹介しておくと、もりかわ氏はネットワーク系企業で働くサラリーマンながら、道楽でレースを楽しむチーム車両のオーナー。青木氏はかつて日産プリンスのワークスメカニックとして腕を振るい、ハコスカGT-Rの50連勝を支え、その後は富士グランチャンピオンレース(富士グラチャン)のマシンのチーフメカニックも担当したチューニングショップ「プラスワンアオキ」のオーナー兼メカニックである。

プラスワンアオキを経営する青木輝久さん。「みんなで楽しめるレース、それが一番面白いんだよ」と熱く語る

プラスワンアオキでセパンを振り返る「もりかわ氏」。明日からサーキットに出るということで、愛車のメンテナンスに訪れたところだ

 もりかわ氏はかつて、趣味でスカイラインR34 GT-Rをチューンし、サーキット走行時のデータログを収集、分析しながらサーキット走行を楽しんでいた。そのときにR34のチューニングを依頼したのが青木さんだった。

 「ここまでやるなら、アマチュアレースやればいいのに」と言われつつも、もりかわ氏自身はまったくやる気ナシ。

 「アマチュアが参加できる耐久レースはいくつかあるけど、ドライバーとして参加するには費用的な負担も大きいしライセンスなどの条件も厳しいものが多い。たとえ自分は条件をクリアできても、仲間を誘うことが難しい。耐久レースの面白いところは、複数のドライバーが共同でレースをすることなので、もっと気軽に大勢のドライバーと楽しめるレースを探していた」と、もりかわ氏。

 「アマチュアがレースを手軽に楽しもうと思うと、サーキットでの走行会の後に模擬レースをやるくらい。そういうやり方じゃないと、なかなかレースに参加できない」と、青木さんも嘆く。

横浜市にあるプラスワンアオキ。手前に見える真っ赤なクルマは、もりかわ氏の愛車

 そんな話をプラスワンアオキのオフィスでしていたのが2006年の春ぐらいのこと。誰からともなくK4-GPの噂を聞きつけてきた。

 参加に際しての各種ハードルが高すぎると、仲間を集めて小遣いで参加といった要素が薄れ、楽しみよりも競技としての色が濃くなる。もちろんK4-GPもルールの中で行う競技の側面は持っているが、そうした真剣な部分とエンターテインメント性のバランスが絶妙なのだ。「これなら楽しめそうだ」と、もりかわ氏は参加を決めた。

 「僕が初めて買った車がカプチーノ。次の車に乗り換えるとき、従兄弟にあげたのだが、ちょうど車検切れで車庫に眠っていた。ならばそれをレース用にしてしまおうと思い、2006年夏の1000キロ耐久参加を目指した」(もりかわ氏)。

 ところが、準備を始めたのが2006年6月ごろで、とてもクルマの整備が間に合わない。もりかわ氏から依頼された青木さんは、「耐久レースに出るなら完璧に整備したい。エンジンもサスペンションも、すべてクルマをバラバラにしてから組み直し、ロールバーを入れて…。耐久だから出来るだけ純正部品を使いたい。やっと動くようになったのが2006年9月。実際に走り始めたのは10月のことでした」と、当時を振り返る。

 結局、夏の耐久には間に合わなかったため、2007年2月のセパン24時間にエントリーした。