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 ふだん何気なく使っているが、考えてみると、ふせん(付箋)というのは不思議な文具だ。必要な時にだけ貼って、不要になればさっとはがせる。後にはノリのネバネバが残らない。きっと相当にひらめきの鋭い人が発案したのだろう。

 そう漠然と思っていたら、真相は少し違っていた。ふせんに使われているノリを発明したのは、米国の化学メーカー「3M」の技術者。1960年代末期に、強力な接着剤を開発していた彼は逆に、非常に弱い接着剤を作り出してしまった。同僚が、その接着剤を本の栞(しおり)に応用できないか、と思いついたことから誕生したのが「Post-it(日本名はポスト・イット)」、すなわちふせんだったという。まさにケガの功名。偶然とひらめきの合わせ技が、世界100カ国以上で使われる大ヒット商品を生み出したのである。今では3Mだけでなく、多くのメーカーから貼ってはがせるふせんが発売されている。

目的に応じていろいろ種類があるふせん。中でも3M(日本では住友スリーエム)の「Post-it」が有名
目的に応じていろいろ種類があるふせん。中でも3M(日本では住友スリーエム)の「Post-it」が有名
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 このふせんは、今も進化を続けているのをご存知だろうか。ふせんの誕生時とはいわば逆の発想で、粘着力を約2倍に高めたのが住友スリーエムが発売している「ポスト・イット 強粘着ノート」だ。パソコンのモニターのような細かい凹凸のある素材にも、しっかり貼れて、はがれにくい。ホワイトボードやデスクの仕切り板など、垂直面に貼っても長期間はがれないから、重要な伝言メモや部署全体への告知などの際に重宝する。倉庫などのバックヤードでも、段ボール箱の中身のメモなどによく使われている。

粘着力が強いタイプの「強粘着 ノート」。パソコンやプラスチックの凹凸面に貼ってもはがれにくい
粘着力が強いタイプの「強粘着 ノート」。パソコンやプラスチックの凹凸面に貼ってもはがれにくい
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強粘着タイプは段ボール箱に貼ってもはがれないほど粘着力が強い
強粘着タイプは段ボール箱に貼ってもはがれないほど粘着力が強い

 この強粘着ふせんが、最も大量に使われているのが、アスクルによれば医療業界だという。看護師は、患者のカルテなどにふせんを貼り、医師への連絡事項などの覚え書きを書いておくことが多いという。ただふせんがはがれて、どの患者の覚え書きなのかわからなくなると大変。そのため、以前はふせんの上に医療用テープを貼るなどして固定していたのだとか。

 強粘着ふせんが出てきてからは、テープ要らずで便利と評価され、大量に使用されるようになった。強粘着ふせんは、医療現場の隠れたヒット商品なのだ。ちなみに、アスクルの購入ユーザーでは、強粘着ふせんをよく使う業界の第2位は金融業界。こちらも、ふせんが簡単にはがれると困る業務が、ずいぶんと多いのだろうね!?