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 11月13日、韓国の大学受験が終わった。韓国の過激といえるほどの教育熱は日本でもよく報道されている。今年の大学受験日も公共機関と大手企業は出社時間を遅らせ(受験生が通勤ラッシュに巻き込まれ体力を消耗しないようにという配慮から)、お母さん達は100日前から毎日早朝教会やお寺に行ってお祈りをし続け、受験当日は会場の前で子供が試験を受けている間ずっと祈りをささげる。

 全国各地で試験会場を間違えパトカーに乗せてもらう受験生や、遅刻して駅から会場まで白バイに送られる受験生の姿がテレビニュースに登場し、「あ~あまた今年もいたのか~」なんてみんな笑ったりする。そして毎年受験後のシーズン恒例といえば、「受験票割引大セール」である。日本に冬のボーナス商戦があるとすれば、韓国には受験商戦あり、といった感じだろうか。

 ファミリーレストランやテーマパーク、アパレル、化粧品、映画館、スポーツ用品、オンラインゲーム、旅行代理店、携帯電話、パソコン、MP3プレーヤーなどほぼ全ての業界が、「受験票を見せると映画が無料」、「受験票を見せると○○%割引」や「受験票を見せると○○をプレゼント」というイベントを開催する。オンラインゲーム会社も受験票のコピーをメールやFAXで送ると特別なアイテムをダウンロードできるクーポンを提供したり、利用料を割引したりする。受験マーケティングに熱を入れている業界の一つにエステ、ダイエット食品もあり、テレビショッピングやネットショッピングでは「大学入学までに5kg痩せられるのはこれ!」といった具合に誘惑している。

 しかし、受験マーケティングも、今年は例年に比べ反応があまりよくないという。今世界の経済はどんどん悪いほうへ向かっているが、韓国も例外ではなく、金融不安が加速している。

 ソウルの「アキバ」である龍山(ヨンサン)のパソコンショップや家電量販店は閑古鳥すら鳴かないほど、人の出入りがパタッと止んでしまった。去年の今頃は受験を終えた受験生と保護者がノートパソコンを買いにきたり、デジカメを買いにきたりして人で溢れかえっていたのに、今年は激安セールもその甲斐なし。受験票を見せるとパソコンの組み立て代を無料にしたり、メモリーのアップグレードを無料にしたり、ノートパソコン購入者にはWebカメラや専用バッグをプレゼントしたりしているが、何よりも見に来る人すらいないので売りようがないというのが現実だそうだ。たまにやってくる客も見るだけ見て、「ネットの方が安い」といって買わずに帰ってしまうという。龍山(ヨンサン)の駅ビルや量販店には空き店舗も増えてきた。

 そんななか、量販店は、値段の安いIT機器がたくさん発売されていることに期待をかけている。ノートパソコン、MP3プレーヤー、スマートフォン、デジカメ、カラープリンターなど、「大学生になったらこれは絶対必要!」、「受験を終えた子供にこれだけは買ってあげたい!」などと、連日広告している。どんなに景気が悪くても、子供や孫のためにはお金を惜しまない親や祖父母を刺激している。

 中でも人気の商品はモバイルインターネットが使いやすくなったスマートフォン携帯電話、それに値段がぐっと安くなったネットブック。既存のノートパソコンは安くても8万円ほど、ハイエンドだと20~25万円はする高級品、ぜいたく品だった。それが、ネットブックなら、機能は少なくなったけどインターネットにメールにレポート作成には十分な代物が4~5万円で買える。

 さらに、ネットショッピングの関係者らは、広告や流行に敏感な10代にとっては機能よりデザインや持っているとかっこよくみえることの方が重要だそうで、ネットブックも必要だからというよりは流行っているから買ってみたいというニーズの方が高いそうだ。

 携帯電話に音楽再生機能がついても、MP3プレーヤーは相変わらず韓国大学生の必須品だ。MP3プレーヤーは、ラジオ受信や液晶を省いた、音楽再生だけにこだわったシンプルで安い4000円ほどのものが売れているという。2GBほどの容量で、デザインは動物やイラストが描いてあったり、カラーも豊富なので、何個が買っておいてその日のファッションに合わせて首にかけるというスタイルが好きなようだ。

 携帯電話はノートパソコンやMP3とは違ってハイエンドなタッチスクリーンにスマートフォンばかりで最高値競争のようになっているが、それでも受験マーケティングの波に飲まれてなのか8~10万円はする端末でも勢いで買ってあげてしまう親も少なくない。11月末にはさらに値段の高い新機種が続々発売される予定なので、逆に今のうちに買ってあげた方がいいかもしれない。

 受験マーケティングからクリスマス、お正月マーケティングへと、このままうまくつながるといいが、この冬を乗り切れない店舗もどんどん出てくるだろう。受験生が希望の春を待つように、龍山IT量販店街にも春が来るといいのだが。