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 前回紹介した高額ソニー録音機「山崎君」は、その重さと録音時間の短さのために現在は押入れ深く眠っている。かつて自分のホームページで山崎君を紹介した所、「この素晴らしい機械をただの落語の録音に使うとはソニー技術者も驚きでしょう、是非取材させてください」と音楽雑誌のライターさんから依頼が来たときもあった。

 それが今では見向きもされないとは悲しいことだ。まるで今のお笑いブームのようじゃないか。テレビに出て人気を博すが、所詮は巨大事務所の縄張り争い。下手な芸人も数打ちゃあたるとばかりに、次から次へとずらりと並べ、たまたま人気が出たらそれっ! とばかりに押しまくる。その結果、世間から飽きられたら、芸人の墓場に埋められて終わるのだ。猫ひろしはどこへ行った。ギター侍は、ヒロシですは、エドはるみはどこへ行こうとしてるのか。

 だがそんなテレビで忘れ去られた芸人でも、どっこい頑張ってる場所がある。それは浅草東洋館だ。時々私も出るのだが、そこにはかつてスターと呼ばれた笑い芸人が次から次へと現れる。私が大学生のころ楽しみに見ていた「お笑いスター誕生」でおなじみ、筋肉漫談、ぶるうたす師匠。法律トーク、ミスター梅介師匠。シンセサイザーコント、牧田博先生。昔、輝いていたスターは、ビートたけしさんが修行したフランス座の改装高座、東洋館で再び輝きを取り戻してるのだ。安いギャラで、テツandトモが紅白に出た時と同じネタで10人の客を今日も笑わせている。なんて贅沢なんだ。是非みなさん、東洋館に遊びに来てね……って俺は何の宣伝をしているんだ。録音機の思い出にひたっているうちに東洋館の話になってしまった。

 さあ、そこで今使っている録音機は何かということになるが、軽さ、音質、使いやすさ、録音時間など色々なことを研究した結果、ローランドの「R-09」になりました。え、どんな研究したのか? それでは正直に話しましょう。私は研究しておりません。実は研究したのは、私が山崎君を行く先々の落語会で自慢していたのを面白くないと思っていたある落語家さんです。その人は、あの笑点でおなじみの「嫁欲しい落語家、春風亭昇太」師匠です。

 財力にはるかに劣る私が高額な録音機を買ったものですから「畜生、俺は同じくらいの性能でもっと使いやすい性能の録音機を買ってやる」と心に誓っていたそうです。そして豊富な人脈(なにせあの当時、昇太兄貴は、落語芸術協会の会長である桂歌丸師匠とホットラインがつながっていたと噂されていた人だ)を使い、あらゆる音楽関係者やミュージシャン、そして危ない録音マニアなどから情報を得て、このR-09「山崎2世」を買うことに決めたそうだ。