PR

 今回は、場所を変えてニューヨークの話題を。

 アメリカの地方自治体では今、全米を治めるアメリカ連邦政府にならってか、すみずみまでIT導入が進んでいる。中でもニューヨーク市は、マイケル・ブルームバーグ市長が率先して、市政府の情報公開や市民とのやりとりにITやインターネットを積極的に導入している。

 先だってある会議で、ブルームバーグ市長が「311」サービスのIT強化を図る話を聞いたのだが、それが実に面白かったのでご紹介しよう。

 311サービスは、「緊急でない問い合わせや苦情のために使われる」電話サービスである。緊急のためには、日本で言えば119番にあたる「911」があるが、311の方は、「自宅の前にずっと違法駐車されている」とか、「近所のレストランのゴミが散らかっている」とか、「アパートの大家のメンテナンスがひどい」「家賃の安い公団はどこに行けば申し込めるのか」といったような、種々雑多な問い合わせや苦情に応じてくれる番号である。

 驚くことに、この311は「24/7」。つまり、週7日間休みなしに24時間対応してくれる。しかも、翻訳サービスに直結していて170言語に対応。あらゆる国からの移民や観光客が多いニューヨークならではの数である。サービスが開始されたのは2003年だが、その後どんどんITを強化している。

 強化の中味は、例えばまずはオンライン化。電話だけでなく、市民の問い合わせに答えられるような合計3500件ものリンクを並べ、問い合わせや苦情も書き込むことが可能。既に市のサービスをリクエストしている場合は、サービス番号を入力すれば進捗状況までわかるようになっている。

 このサービスのバックエンドには、普通の企業が用いているようなCRM(顧客関係管理ソフト)が統合されており、問い合わせや苦情に対して実施した処理の記録や、他の部署との連携も簡単にできる。「市民は顧客」と、ブルームバーグ市長は言う。

 ちなみに、311で対応した問い合わせの集計も公開されていて、これによると会計年度の2009年は、合計で1400万件近い電話を受けた。平均の待ち時間はたったの19秒。30秒内に電話に対応した割合は89%にも上っている。アメリカではどんな企業のカスタマー・サービスに電話をしても、20分ほど待たされることがザラにあることを考えると、これが自治体のサービスかとびっくりするようなスピーディーさである。

 2009年3月の統計を見ると、他の部署へ転送された通話は30%、緊急番号の911への転送は2%、通話で情報が提供されたのは49%、サービスのリクエストが9%となっている。また、英語が使えない通話者からの問い合わせで、翻訳サービスが必要だったのは2.1%だという。