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 私は本稿を「Kindleとジャーナリズムの将来」という名前にしたいと思う。他の人すべてが、その主題について書いているようだ。もちろん、それは気取ったタイトルだが、ある真実がある。問題は、最新のKindleの改良がジャーナリズムの未来にそれほど影響を与えないだろうということだ。少なくともそれが私の見解だ。

 Kindlにはそれほどの影響力はない。なぜならAmazonがそれほど多く売っていないからだ。値段が高すぎる。さらに、新しい「Kindle DX」はユーザーが交換できるバッテリーがないし、メモリーカードも使えない。それらはどちらも「Kindle 2」で不満を持たれていた点だ。

 カラーでもない。しかしそれはまあ致命的ではない。Kindle DXはKindle 2より大きなスクリーンと高い解像度を備えていて、それらは重要な点だが、十分大きいかどうかは疑問だ。また、非現実的な価格設定がされている。私はこの点はKindle DXが発売になるまでに下ると確信している。Jeff BezosはKindle DXの価格は製造原価に押し上げられていて、これ以上安く売れないと言っている。様子を見ることだ。この価格は私から見るとべらぼうに高い。

 Amazonは米国におけるSF作家の年次総会にKindleの宣伝チームを送り込んで、商品紹介のインフォマーシャルを行った。宣伝チームだけあってKindleの売り込みに熱心だったが、我々にブリーフィングの図表のコピーは配布してくれなかった。そして彼らは具体的な数字はほとんど示さなかった。残念ながら、彼らが提供した情報の多くはパーセンテージの増加のような相対的なものだったので、具体的な結論を出すことはできなかった。しかし、いくつかの事実がかなり明らかになった。

 第1に、Kindleの販売のプラスの影響が、既刊書、特にシリーズものの以前の既刊書に出ている。人々は、あるシリーズの最新刊やある著者の最新の本を読み、前の作品をいくつか読みたいと考える。それらの作品がKindle用に用意されていると、印刷体だけしかない場合よりも売り上げがかなり伸びる。

 それは一般的に著者にとって良いニュースだ。ここでただ一つ問題なのは、一部の出版社がKindle版が存在すれば、仮に読者が印刷版を買うことができなくても本が「絶版でない」と主張することだ。本が「絶版でない」場合、出版者は通常それを売るための独占権を持ち続ける。そのため、著者が別の出版者を見つけて本の新しい版を出すことができない。代理人、著者、出版者は「絶版でない」とはどういうことかを何年も議論している。電子書籍は「絶版でない」ことになるのか? 本をオンデマンドで製造する方法があったら、それは「絶版でない」ことになるのか? 著者は常にこう主張している。「絶版でない」というのは、その本を発注できるだけでなく、書店が本を販売用に展示できるということだ。明らかに、オンデマンド出版と電子書籍ではそれはできない。

 Kindleの販売チームによれば、大衆向けの本販売へのはっきりした影響がすでに出ているという。Kindleを所有する人々はもっと多くの本を買っていて、すべてのカテゴリーに広がっている。一番よく売れているのは、ミステリーとスリラーのカテゴリーだが、ロマンスとSFもそれより大幅に少ないわけではない。

 それらはどれも著者にとって良いニュースだが、驚くほどのことではない。